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No.003 ページ4

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無人のキッチンにて。

トン、トン、と小刻みな音が耳に木霊し、意識がぼんやりと遠退く。今だ帰宅していない沖田さんは恐らく夜遊び、高杉さんは仕事かな……と勝手に考えて。無言のまま、こと静かに野菜を切っていると。


『____そのまま恋愛コースに走るってのもアリなんじゃない?』

「……ない。絶対ありえない」


不意に脳内リピートされた友人の言葉に、無意識の裡に言葉を返す。端から見ればただの不審者だが、大丈夫、此処には私しか居ない。そう呟いていると、ふと手が滑る。すると見事に包丁の切っ先が手の甲に触れ、浅く皮膚を裂き、やがて血がじんわりと滲んできた。


「痛っ!……ぁ」


遅まきながらそんな悲鳴をあげれば、しんと静まり返っていた部屋に悲しく反響した。咄嗟に水道の蛇口に手を伸ばし、水で血を洗い流そうとした……その時だった。


「……ひっ?!」


本日二回目の、情けない悲鳴があがる。

しかしそれは、物理的な痛みのものではなくて。今だ針でつつかれるような傷口に、生暖かい感触が当たる。ゆっくりと顔をあげて、目の前に佇んでいた人影に目を向けると、そこには私の傷口を舐めるかのよう中指を口にくわえたサーモンピンク色の髪の青年が。

思わず口から飛び出そうになった色気もへったくれもない本日三度目になるであろう悲鳴じみた奇声を飲み下してから、目を瞬く。青い瞳がキョトンと此方に向き……不意に、ニヤッと唇が笑みの形を象る。ビュンっと手を引き戻し、焦り半分動揺半分と言った表情で私は問う。


「かかか神威さん?!な、何をして?!」

「何って……止血だけど?て言うかそれ。ダメって言ったでしょ?」


……が、そんな問いをさらりと受け流して更に質問を返してきた。唇を尖らせたその人こと神威は、拗ねた子どものような面持ちで。親に強請る幼子のような雰囲気で、私の唇にそっと人差し指を押し当ててから。


「敬語とさん付けは禁止って……確か、昨日も言ったよね?てかもうずっと前から」

「えぇと、はい。そうでしたね」

「あり、敬語外れてないけどー?」

「これは癖です……見逃してください」


そう言って外方に視線を逸らす。

……が、神威の口許に浮かぶニヤケ笑いは止まらない。むしろ、その嫌味な色を倍増しさせているようにも見える。そんな中、私は心からの言葉を溢した。


「……神威、何か貴方の方が赤く見えるのですが」

「あっ、これは気にしないで」

「喧嘩してきたんですね?」


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あるの(プロフ) - ささかさん» コメントありがとうございます、ささかさん!いつまでも待っていて下さるのですか?!ありがとうございます^^はい、できるだけ早く続編を作り直しますので、それまでは暫しお待ちください! (2018年1月6日 16時) (レス) id: 26476dfb48 (このIDを非表示/違反報告)
ささか - 作者さん、色々とお疲れ様!でも私はいつまでも待ってますから!ゆっくりでいいので続編作るの頑張って下さい! (2018年1月6日 15時) (レス) id: 94a7e06d27 (このIDを非表示/違反報告)
霰@あるの(プロフ) - たらぴさん» コメントありがとうございます!はい、念願の初殿堂入りを果たすことができました…!応援までありがとうございます^^たらぴさんのお言葉には励まされるばかりです! (2017年12月24日 17時) (レス) id: 26476dfb48 (このIDを非表示/違反報告)
たらぴ - 殿堂入りおめでとうございます!これからも頑張って下さい(^^)/応援してます! (2017年12月24日 17時) (レス) id: dcfd3554f9 (このIDを非表示/違反報告)
霰@あるの(プロフ) - 高杉るなさん» 了解致しました^^ご提案ありがとうございます!高杉さんと遊園地…とても素敵なお話ですね!できるだけ早めに執筆致しますので、楽しみにお待ちいただけると嬉しいです! (2017年12月6日 7時) (レス) id: 26476dfb48 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あるの | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年10月15日 9時

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