No.028 ページ29
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億劫な気分で廊下に躍り出た私は、本当にどうしよう……なんて小さな呟きを溢し、坂田さん達が居るであろう客間へ向かうべく歩を進める。……否、歩を
なぜなら____
「あはははは、あははは──!!おまんらは相変わらず変わらんのう!何だか昔を思い出すぜよ!」
聞き慣れない土佐訛りな声が、廊下にまで響いてきたから。それは、やはり例の客間からで……。何か嫌な予感を察知しつつも、私が襖を開けると____
「はっ、お前もいい歳こいてよくもまぁ人様ン家に上がり込めたモンだな……ヒッ、……ったく、いい迷惑だぜ」
なんか、幻聴が聞こえてくる……。それと共に、客間に充満していた酒臭さが漂ってきた。
____丁度こちらに振り返った桂さんに助けを乞うような視線を送れば、目をぱちくりとさせ私の方に近寄ってきた。その足取りは、おぼつかないふらふらなもので……。そんな心からの叫びも聞こえず、桂さんは立ち上がろうとしては膝を折ると言う何とも奇妙な行動を繰り返していた。
「ちょっ、何してるんですか、桂さん?て言うか高杉さんまで!!ここはいつから同窓会になったのですか!?」
そう、ゆっくりと顔をあげれば。
そこには机を囲むようにして坂田さん、桂さん、高杉さんと見知らぬモジャモジャがいた。そして、一番に目についたのは白昼堂々酒を煽っていた彼らだ。
『お茶持ってきますね』と言ったはずなのに、何早々と酔っぱらってるんだ、この人たちは。
「おっ、Aちゃん。もしかして一緒に飲みたいの?……って、……痛い!痛いから!!」
強く握りしめた拳で躊躇なく坂田さんの背中を殴り続けていると、涙目になった坂田さんは宥めるようにそう叫ぶ。その様子を見て、ずっと黙りこんでいた高杉さんがぬっと立ち上がり、
「……A、ちょっと来い」
と手招きしてきた。無論、高杉さんもべろんべろんに泥酔している様子。私が居なかった間に、はたして何があったのだろう。
ついていくべきかどうかと悩んでいると、不意に吊り上げられるように右手が引っ張られ、ピリッとした痛みが右腕に走った。その正体は、言わずとも分かる高杉さん。
「わ、分かりましたから……!み、右腕がもげる……!」
裏返った悲鳴をあげた私は、ふらふらの高杉さんの身体を支えながら廊下に脱出した。
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あるの(プロフ) - ささかさん» コメントありがとうございます、ささかさん!いつまでも待っていて下さるのですか?!ありがとうございます^^はい、できるだけ早く続編を作り直しますので、それまでは暫しお待ちください! (2018年1月6日 16時) (レス) id: 26476dfb48 (このIDを非表示/違反報告)
ささか - 作者さん、色々とお疲れ様!でも私はいつまでも待ってますから!ゆっくりでいいので続編作るの頑張って下さい! (2018年1月6日 15時) (レス) id: 94a7e06d27 (このIDを非表示/違反報告)
霰@あるの(プロフ) - たらぴさん» コメントありがとうございます!はい、念願の初殿堂入りを果たすことができました…!応援までありがとうございます^^たらぴさんのお言葉には励まされるばかりです! (2017年12月24日 17時) (レス) id: 26476dfb48 (このIDを非表示/違反報告)
たらぴ - 殿堂入りおめでとうございます!これからも頑張って下さい(^^)/応援してます! (2017年12月24日 17時) (レス) id: dcfd3554f9 (このIDを非表示/違反報告)
霰@あるの(プロフ) - 高杉るなさん» 了解致しました^^ご提案ありがとうございます!高杉さんと遊園地…とても素敵なお話ですね!できるだけ早めに執筆致しますので、楽しみにお待ちいただけると嬉しいです! (2017年12月6日 7時) (レス) id: 26476dfb48 (このIDを非表示/違反報告)
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