２度目のらぶこーる【skt】

Honey:12 ページ13

「あぁもう！！無理無理無理無理無理！！！」


今夜は酒を飲まずに家へ帰れば、私はネガティブなセリフを並べて、しろくまのクッションに顔面を押しつけて嘆いていた。


冬のライブ終わりの自撮りを見ても、何を隠そう先日関係を切ったばかりの正真正銘の元カレだった。


もしも、ライブ中に見つかったりでもしちゃったら、もうライブどころじゃない。でも、あのセンラが、子供のようにはしゃいでいた姿を見ると断る気力すら湧いてこなかった。


それにあの調子だと、お口が羽のように軽いセンラはメンバーにぺらぺら喋くる可能性も高い。


完全に詰んだと、額を手で押さえても過ぎたものは何をしても今更遅い。


どうすればいいと思う？と学生時代に悠からもらった、はちみつ食べたいなで有名な黄色のくまのぬいぐるみに抱きつく。


考えれば考えるだけ頭が痛くなる。


「頭冷やそ」

ｶﾞﾁｬﾝと玄関の扉を開けて私はコンビニへと向かった。


愛しのお酒を買って早く帰ろう。


とエレベーターの下ボタンに手をかけた。


「あれ？お隣さん？」


後ろを振り向くと、おそらくお隣さんだと思われる、高身長イケメンが微笑みかけながら立っていた。


「すみません、自己紹介遅れましたね。805号室の"一ノ瀬"と言います。806号室の長川さんですよね？お困りのようだったので、よければ相談にのりましょうか？」


その姿はいつか見た御伽話の王子様によく似ていて、とても紳士的な笑みを浮かべていた。

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