ある日、柱は浅草へ【鬼滅の刃】【炎炎の消防隊】

別れ。そして… ページ21

彼は耐えている。


自分の店が燃えている辛さと思い出を失う悲しみ、そして自身が燃える痛みに。

『おじいちゃん、和菓子とっても美味しかったよ』

笑顔で語りかける。
すると、少しだけ此方を見てくれた




…さようなら。どうか安らかに。




“夢の呼吸 漆ノ型 白河夜船”


思い出の夢を見ながら、眠って下さい。


通り過ぎる合間の一瞬で心臓を確実に、突く。

本来は頸を斬る技なのだけれど、浅草に来てからは全て突き技として訓練し直した。



『良い夢を』




”ありがとう”


驚いて振り返れば、光の粒と共に消えていった

おじいちゃん、此方こそありがとう。









「姫さんが頑張ったんだ、俺らも仕事だァ!!」


「「「うぉぉおおおおおお!!!」」」

ﾋﾞｸｯ

なになに!?

突然雄叫びと共に後ろで消火作業が始まった

あれ、今までも作業してたんじゃ…。


紺「姫、お疲れさん」

紅「良かったぞ」


『あ、二人とも』

「Aちゃんや、綺麗な鎮魂ありがとねぇ」


おばあちゃん…

『どう致しまして』


この後、如何するんだろう

「母さん!無事かい!?」

『あ』


走ってきた女性は、浅草に来たときお世話になった和菓子屋の照子さん

通称、てるちゃん


照「店燃えちまって…父さんが焔ビトになったって本当かい？」

「ああ、そうだねぇ…でもAちゃんが鎮魂してくんなさったっけぇ、大丈夫」


照「Aちゃんが？」

『…照ちゃん』


おじいちゃん達の店にも、照ちゃんの店にも常連で、顔を覚えられる程度には通っていた

だから彼女らが仲が良いのは知っている

少し、申し訳ないことをしたかもしれない…



照「…なぁに辛気くさい顔してんのさ!!」

ばしばし、と背中を叩かれる

『え、痛っ』


照「Aちゃんはウチの父さんを痛みから救ってくれたんだろ？」

「綺麗だったぇ〜」

『…そう、だけど』

照「父さんね、アンタの事孫のように思ってたんよ。そのAちゃんに鎮魂されたんだ、本望だろうよ！」

『！』


おじいちゃん…私もだよ

本当にありがとう




照「あらら、泣くなって〜」


『だって、…ﾋｯｸ、思い出が、おばあちゃん家が…』




紺「あー…婆さん、家燃えちまったんだ。暫く屯所に来るかい？」


照「あ、気ぃ使わんでいいよ。母さん、ウチでまた和菓子屋しようさね」

「そうしようかねぇ」



そう言っておばあちゃんは私の頭を撫でながら
「Aちゃん、また菓子食いに来んさい」
と言った。


『うん！』

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