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▼sweet.036 ページ37

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『はあ、上手くやってくれてるといいけど...』



いちごちゃんを見送った後、ため息をついて不安を漏らしてしまった私。

今、一太くんの機嫌はかなり下がっているだろうし、さっきお兄さんの話題も出されて落ち込んでいるだろう。

いちごちゃんには、あわよくばどうしてケーキを嫌うのかその理由を聞き出して欲しいなんて思ってはいるけれど、いちごちゃんのことだからケーキを好きになってもらおうとケーキを食べてもらおうとするかもしれない。

もしそうなってしまったら1番怒って欲しくない出来事だ。


今、ケーキやパティシエ・パティシエールを目指す私たちを毛嫌いしている一太くんにケーキなんて相性は最悪なんてものじゃない。




『そう言えばいちごちゃん、手土産だーなんて言ってケーキ持ってきてなかった?』
「あー、そう言われればそうだったかもしんないな」
「持ってきてたはずだよ。朝ルンルンしながらサロン・ド・マリーの箱を持ってたから」



ふと思い出したことを樫野と花房に聞くと、私の記憶は間違いではないことが分かり、さらに不安が募る。



『そっか、心配だな...』


「要らないって言ってるだろ?!」
「一太くん?!」



遠くから一太くんの叫び声とお皿の割れる音が僅かに聞こえ、まさかと思い声の聞こえた部屋まで走って向かう。

着いたときにはもう安藤もいて、食べ物を粗末にした一太くんを叱っているようだった。



「食べ物になんてことするんだ。それでも和菓子屋の息子か!!」
「うちは和菓子屋だろ。ケーキなんてどうでもいいだろ!!」



[パシッッ]



『あ、安藤...』
「やっぱり兄ちゃんはケーキの方がいいんだ。ケーキも、千兄も大っ嫌いだああああ!!!」



安藤を心配そうにチラッと見た後、一太くんを追いかけに行ってしまったいちごちゃん。まさか、あのいつも優しい安藤が弟にビンタをしてしまうなんて。私には全く想像のつかない事だった。

走って部屋を出て行った2人の後を追うわけでもなく、部屋に残った私と安藤はその場に呆然と立ち尽くしていた。



「幻滅、しちゃったかい...?」
『え?...ううん。そんなことないよ』




.

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†NANA†(プロフ) - ページ43・44で、「チョコトルテ」が「チョコタルテ」になっています (2022年5月2日 10時) (レス) @page44 id: 9dc612bbe9 (このIDを非表示/違反報告)
心芦心芦(プロフ) - ようやく50話達成するまで至りました😭コメントしてくださった皆様本当にありがとうございます!続編でもよければ何でもいいのでお言葉頂けると嬉しいですし、励みにもなります☺️では、続編にてまたお会いしましょう👋 (2022年1月5日 22時) (レス) @page50 id: 0695e2aa22 (このIDを非表示/違反報告)
心芦心芦(プロフ) - わらびもち( ˙?˙ )さん» ありがとうございます!! (2022年1月5日 9時) (レス) id: 0695e2aa22 (このIDを非表示/違反報告)
心芦心芦(プロフ) - れさん» ありがとうございます!更新頑張ります☺️ (2022年1月5日 9時) (レス) id: 0695e2aa22 (このIDを非表示/違反報告)
わらびもち( ˙?˙ )(プロフ) - お疲れ様でした!そして、更新楽しみにしてます!ありがとうございます! (2021年12月12日 21時) (レス) @page45 id: 36bb079102 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:心芦心芦 | 作成日時:2019年10月15日 20時

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