28話 No side ページ29
目の前の少女は、本当に、ただの少女だ。
どこにでもいる、病弱な兄を看病しつつ生活をする、自分たちよりもはるかに幼い普通の少女。
だが、そんな彼女の腕には、いや、長いマントから覗く細い首や足には、普通に生活していればつかない傷ができている。それこそ、巨人と戦う自分達と同じような＿＿＿＿＿
ハンジは、傍でジッと少女を見つめるリヴァイを見る。
ハンジは知っている。
一見睨んでいるような強面で怖い彼は、実際には広い視野で部下達を統率し、何より、壁内の市民達を守るため、巨人を殺すのだと。
何だかんだ言いながら、仲間たちを、人々を想っていることを。
「……ごめん、ちょっとその怪我、見せてくれないかな？」
そんな彼が、もはや虐待ではないかと疑えるほどの怪我をした少女を気にした。きっと、何かあるのだろう。
「………っ、」
黙ってゆっくりと差し出してくれた彼女の腕に触れると、それだけで痛みを感じるのか、小さく震えた。
酷い怪我だ。打撲に擦り傷、刺傷、切り傷、火傷……
手当済みのガーゼや絆創膏が貼ってあるにしても、怪我の具合がよくわかる。
こんな小さな少女が、こんな怪我を負っている理由なんて思いつかない。
「………ねぇ、君は＿＿＿」
ハンジが少女の手を離し、顔を覗き込んだ瞬間。
カンカンカンカンカンッ！！！！！
調査兵団を呼び出す鐘が鳴り、思わずリヴァイとハンジは逆方向をむく。
「…なんだ」
「………郊外の方に巨人が出現したらしいよ。これは…、っ、」
鐘の後に続いた信号弾に夢中になっていたハンジは、ハッと後ろを振り向く。
そこには、先程居た少女はおらず、まるで最初から居なかったかのような路地が存在していた。
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mno(プロフ) - 久しぶりにこれだ！私の好きな作品!となることができました。更新楽しみにしてます (2022年11月5日 9時) (
レス) @page28 id: e30673860e (このIDを非表示/違反報告)
むくろ(プロフ) - これは良い作品の予感、更新楽しみにしてます。 (2022年2月9日 17時) (レス) @page25 id: 174613f474 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヒツギ | 作成日時：2021年8月31日 17時
