21話 ページ22
「………じゃあ、行こうか。ボクはアルミン･アルレルト」
「……Aと申します。わざわざすみません、送って頂いて…」
と、平静を装いつつ必死に頭を回す。
このまま住処まで送って貰うことになったら、住処がバレるどころか、マルコが見つかる危険性も高まる。アルミンは記憶力も良さそうだし、1回会っただけの私のことも忘れなさそうだ。
そんなふうにグルグル考えている間に、足は止まらずどんどん進んでいく。
「家はどこ？」
「あ、はずれの方で…」
なんて当たり障りのない会話。んーーーーー、話すことがない！いい感じのところで切りたいんだが…
「アルレルトさんは、訓練兵さんなのですか？」
「うん、」
隣を歩くアルミンの腕の紋章が目に入り、何気なく放った私の質問に、彼は予想に反して、どこか自信なさげに頷いた。
「……、希望しているのは、調査兵団、ですか？」
あ、
「…！！ど、して…」
おっと、失言してしまったようだ。そういえば、この世界では、大抵は憲兵団で安全な内地に行くのだったか。この思考は珍しいのか。
「…普通の人とは、目が違う気がして…」
「そう、………………うん。僕、幼なじみがいて」
彼は切り出す。
その彼が、僕が海を見たい、って言ったら、自分は巨人を駆逐したい、と言って。昔からただひたむきに望んで、壁の外を目指すから。
自信も、志も、根性も気力も足りない自分は、本当に、調査兵団に行けるのかな。……彼を、大切な幼なじみを、助けられるのかな。
そういった彼が、酷く、迷子の子供みたいだったから。
「＿＿＿調査兵団は、命を懸け、失う可能性が大きい、とても危険なものだと伺います。成果も得られず、壁外調査から戻ってくることもあります。
けれど、とても誇らしいと思います。人類の為に自分の命をかけられて、自分の夢をひたむきに追いかけられる真っ直ぐな人が、多いのだと思います。
アルレルトさんも」
だから、疲れた時は、休めばいいんですよ。
人間なのだから。
私の突然の発言に立ち止まっていたアルミンは、そのまま私を見開いた瞳で見つめると、フワッと笑い、小さく頷いた。
「…ありが「では！ この辺で大丈夫です。送って頂きありがとうございました」
なんてそんな偉そうに口をきいてる場合しゃないのだ。このアルミンが停止しているタイミングに帰ろう。
何か言いかけたようなアルミンの言葉は、気の所為だろう。
私はマルコの待つ家に全力で駆けだした。
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mno(プロフ) - 久しぶりにこれだ！私の好きな作品!となることができました。更新楽しみにしてます (2022年11月5日 9時) (
レス) @page28 id: e30673860e (このIDを非表示/違反報告)
むくろ(プロフ) - これは良い作品の予感、更新楽しみにしてます。 (2022年2月9日 17時) (レス) @page25 id: 174613f474 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヒツギ | 作成日時：2021年8月31日 17時
