11話 No side ページ12
No side
カンカンカンカンｯｯ！！！！！
つい先程までは何事も無い市街地だったこの場所に、鐘が鳴り響く。
「落ち着いて避難してください！」
「訓練兵及び駐屯兵団は中衛部に前進っ！！」
「巨人の駆逐に急げ！！！」
ありとあらゆる場所から怒号と悲鳴、焦りが聞こえてくる。
「……僕達訓練兵が前衛まで押されてる……」
「あぁ、まずいな」
第104期訓練兵のエレンとアルミンは、他の同期達と共に、巨人の駆逐に向かっていた。
移動中、どこに目を向けても入ってくるのは巨人。街は巨人で埋め尽くされている。
立体機動装置で、建物の間をくぐり抜け、巨人の群がる壁に向かう。と、その時。
「…ッ、奇行種だッ！！！ 避けろッ！！！！」
誰かが、そう声を張り上げた。
エレンの目には見えた。
同期である、トーマスが体制を崩すのを。
「トッ…」
最悪の未来を想像し、声を張りあげようとしたその瞬間。
巨人のガチンッという獲物をくわえられず空ぶる歯の音と、立体機動装置のワイヤーの高速回転の音。
そして、その音が周囲に響くと同時に、巨人のうなじが削がれた音が響いた。
「はっ……？」
トーマスの方を見ると、彼の傍には、長いマントを羽織りフードを被った、何者かが立っていた。
「誰だ？」
エレンの独り言にもとれる呟きを無視したのか聞こえていないのか、その人物は再びワイヤーを建物に刺し、飛び立った。
集まって来ていた巨人達を、目にも止まらぬ速さで討伐していく。
その圧倒的な実力に、呆然と立ち尽くすエレン達。ハッと正気に返ったアルミンが手助けをしようと周囲をみるが、その時には既に、辺り一帯の巨人は存在していなかった。
「なっ、あの短時間に…？」
明らかに訓練兵の身のこなし方ではないその人物の顔を見ようにも、フードを被っている上に、巨人の項に直接ワイヤーを刺して特攻し、1発で削ぐと、すぐに別の巨人の項に特攻するため、見ることが出来なかった。
エレンとジャンが、近くの屋根に降り立ったその人物に、声を張り上げる。
「あのっ！！！ 誰ですか！！」
「調査兵団の人か！？」
その人物は2人の声がけに反応をしようともせず、くるりと別の巨人の方向に向き、飛び去った。
あの見覚えのないマントといい、身のこなしといい、明らかに訓練兵ではないだろう。かといって、どこかの兵団の者ならば、顔を隠す必要は無い。
「…………一体、誰なんだ」
その呟きは、半壊した街の中に消えていった。
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mno(プロフ) - 久しぶりにこれだ！私の好きな作品!となることができました。更新楽しみにしてます (2022年11月5日 9時) (
レス) @page28 id: e30673860e (このIDを非表示/違反報告)
むくろ(プロフ) - これは良い作品の予感、更新楽しみにしてます。 (2022年2月9日 17時) (レス) @page25 id: 174613f474 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヒツギ | 作成日時：2021年8月31日 17時
