彼 女 と の 距 離 。 ページ6
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「私も鈴木くんにプレゼントがあるの！」
｢はい、これ！｣と差し出してきたのは俺があげた倍の大きさはある袋。
中には深緑のシンプルなマフラーが入っていた。
「何が鈴木くんに似合うかなってたくさん考えたんやけど、シンプルなものが一番に頭に浮かんで、緑似合うだろうなーって思って選んでみました…！笑」
笑顔で｢えへへ｣って笑いながらもらってすぐ首にマフラーを巻く俺を見て｢あ！やっぱり似合う！｣と褒めてくれる彼女。
この頃から彼女は俺を｢鈴木くん｣ではなく、｢としみつくん｣と呼ぶようになった。
冬休み明けの学校、年末年始は故郷に帰ってたらしくクリスマス以降、俺は彼女に会えんかった。
あけおめって新年の挨拶をして以来、LINEすらもしてなかった。
て「おっはよ〜！」
と「おう、おはよ」
て「おー、マフラー買ったんか、似合っとるやん！」
自慢したくなった気持ちをぐっと抑え、｢ありがと｣なんて言って軽く流す。
当たり前なことに選択している科が違う分、彼女とはなかなか会えん。
やっと会えたのは次の日の放課後、陸上部の練習を眺める彼女を部室から出る時に見ただけだった。
カメラを構えてシャッターを切る横顔はやっぱりいつ見ても可愛い。
でも、その日は切なそうに見えた。
ゆ「あ、としみつ〜」
り「お疲れ〜」
と「お疲れ」
帰り道、てつや以外の陸上部メンバーと偶然会い、途中まで一緒に帰っていた。
その場にも彼女の姿はない。
と「最近Aちゃん一緒におらんの？」
ゆ「あー、今はちょっとそっとしとく方がいいかなって思って…」
り「なんかあったの？喧嘩？」
ゆ「いや、あいつん家、今ごたついててさ…」
ゆ「両親が離婚するらしくて…。」
今日見かけた彼女が切なそうに見えたのは、きっとこれが原因だったんかや。
ゆめまるから聞いた話では、両親の喧嘩が絶えず、Aちゃんもとばっちりで怒鳴られる日々が続いているらしいとゆう内容だった。
もしかしてと思い、二人に｢忘れ物をした｣と嘘をつき、学校へと戻る。
家に帰りづらいなら、きっと彼女はここにいるはず。
あまり来ることのない文化部の部室、扉をガラガラと開けると中には会いたかった人。
「としみつくん？！どうしたの？笑」
なに無理して笑ってんの？
やめ、そんな意地の張り方。
気づけば俺は彼女を抱きしめていた。
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近 づ く 距 離 と 、 離 れ る 距 離 。→←初 デ ー ト ( ？ )
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作者名：すーさん。 | 作成日時：2019年5月28日 0時
