懐 か し い フ レ ー ズ 。 ページ23
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医師「13週目にはいったくらいだね、妊娠三ヶ月おめでとうございます」
ぽかんと口を開けながらお腹の中で生きている我が子の姿が映るモニターを見つめるAと、
今にも飛び跳ねて喜びたいくらい嬉しすぎて終始にやけてしまう俺。
そのまま病院で母子手帳だったり妊婦さんが良くつけてるワッペンマークだったりを色々くれた。
手続きも終わりオレンジ色の空の下を歩く帰り道、どちらから話すこともなく二人並んで手を繋ぎ、家へと向かった。
家に着いて部屋着に着替えてリビングに戻ると、テーブル椅子に腰掛けてエコー写真を眺めてるA。
微笑んでいるのにどこか強い眼差しにグッときて、不意にキュンとして、可愛いなって思ってしまう。
後ろからぎゅっと抱きしめると、一瞬驚くがいつもの様に優しい笑顔で俺を見る彼女。
「ねぇ、としみつくん」
と「ん?」
「嘘じゃないんよね?現実なんよね?」
さっきの真剣さはどこへやら、いつも通り、いや、いつもより慌てふためく彼女が目の前にいる。
と「嘘じゃねぇし、正真正銘俺らの子供。笑」
「そっか、私達親になるのか。笑」
と「不安?」
俺が隣の席に掛けながらそう聞くと、素直に頷く彼女。
「私、ちゃんとママになれるかや〜?笑」
と「それ言ったら俺の方が心配だら?笑」
「あ、確かに。笑」
と「おい!笑」
「あ、でも大丈夫だよ!あのしばゆーが父親なんだもん!」
笑顔で軽くしばゆーをディスりながら呑気に話す彼女。
と「なぁ。」
少し真剣なトーンで話しかけると、「なーに?」といつも通りの柔らかい笑顔で微笑む彼女。
と「順番的には逆になっちまったけど、そろそろ籍入れん…?」
「…、あは!なによ改まっちゃって笑」
と「いや、普通改まるだろ!笑」
「そこはノリで入籍してみたらええやん?って聞かなきゃ〜笑」
と「こんな時に面白み求めんなや。笑」
彼女は俺の改まった態度と、自分で言った今流行りのワードがツボだったのか、終始笑い続ける彼女。
笑ってる彼女を笑って静かに見つめてると、次第に笑顔は消え、「私でいいの?」なんて尋ねてくる。
「後悔しない?」
懐かしかった、だから俺も懐かしい言葉をかけた。
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一旦切ります。
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作者名:すーさん。 | 作成日時:2019年5月28日 0時