Shape.【ポケモン短編 / 原型、時々トレーナー】

【フライゴン】甘えたな精霊 ◆ ページ10

「はいはい、すぐあげるからね」

微笑みながらそう言うAの服の裾を、彼女のフライゴンが軽く掴んでいる。

フライゴンにおやつをねだられたAは、用意してあげようとキッチンの棚を開ける。
フライゴンは待ちきれないようで、ふりゃ〜、と可愛らしく鳴きながらAの服の裾をそっと引く。

信頼しているAだけに見せる、甘えた姿。

＊

リビングのテレビの前に、一緒に並んで座りながら寛ぐ。
Aはテレビを観ながら隣にいるフライゴンを片手で撫で、フライゴンはAに用意してもらったおやつを両手で持って齧っていた。

「美味しい？」

おやつを齧るフライゴンにAが問いかけると、嬉しそうに鳴いて答えるフライゴン。
口端に少しばかりおやつの欠片をくっつけているのがまた可愛い。

ついてるよ、とフライゴンの口元を拭ってやると、翼を軽くぱたぱたさせて喜ぶ。
仕草や反応が一つ一つ愛らしいので、ついつい世話を焼きたくなってしまう。


しばらくしてフライゴンはおやつを完食し、Aの隣にぴたりと寄り添ったまま大きなその身体を丸めて横になっていた。

ふと、フライゴンを撫で続けていたAの手が止まる。
フライゴンは不思議に思い、目線を上げてAを見てみた。

どうやらAはテレビに夢中になってしまったようで、思わず撫でる手が止まったらしい。

フライゴンは首をもたげてAとテレビを交互に見る。
そして じぃ、とAを見つめるも、彼女の手が動き出す気配はない。

む、と不満げな表情を見せたフライゴンは、存在を主張するように ぽすりとAの膝に自身の頭を乗せてみる。

「わっ、…フライゴン？」

膝への感触に意識を引き戻されたAは自分の膝元を見下ろす。
フライゴンの目を覆う赤いカバー越しに、不服そうな瞳と目が合った。

「フライゴン、ごめんね」

余所見をしてしまったことを素直に悪く思い、先程よりも気持ちを込めてフライゴンの頭を撫でてやる。
フライゴンはすぐに機嫌を直したようで、幸せそうにAの手に擦り寄った。

つられて笑顔を見せたAは、そのままテレビの電源を切る。

さあ、存分に甘えさせてあげるね。



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リール様のリクエストで、『甘えん坊なフライゴン』でした。
フライゴン良いですよね…映画とかでめっちゃかっこよかった記憶……
フライゴンはかっこいいと可愛いを両立できる子(確信)
素敵なリクエストありがとうございました！

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