【バシャーモ】暖 ◆ ページ39
「……寒い…」
季節は冬。呟いたAはまた一段と暖房を強くする。
暖房が効いた部屋。そこで飲む温かい飲み物。それでもAには温もりが足りなかった。
ブランケットでも被ろうか。そう思い、動く気のない身体を無理に動かして毛布を探しに行こうとした。
すると、それを遮るようにAの隣に誰かが座る。
「…バシャーモ?」
そう、隣に座ってきたのはAのポケモンであるバシャーモだった。
寒がるAを温めようとするかのように、炎タイプである自身の身体を押し付ける。
「…じゃあ、バシャーモで暖取ろうかな」
Aの言葉に、バシャーモは満足そうに小さく鳴いて返した。
*
「バシャーモはあったかいね」
バシャーモに自らも身体を寄せてぬくぬくとしながら、Aが言う。
寄り添うと微かに触れるバシャーモの柔らかな体毛がまた心地よい。
「バトルの時も炎で戦うけど、こういう使い方もあるね」
言いながら、Aはバシャーモのバトルを思い出す。
赤々と燃える炎を纏ったパンチや蹴り。数々の力強い技を披露し対戦相手を薙ぎ倒してくれて、いつも本当に頼りになる彼。
そんな彼の体内に宿る炎を、このような形で感じることができるとは。Aはなんだか嬉しくなった。
「ねえ、バシャーモ…」
また何か話をしようと、声を掛けながらバシャーモの方を向いたAの視界に飛び込んできたのは意外な光景だった。
Aに寄りかかったまま、腕組みをして目を閉じ静かに寝息を立てるバシャーモ。
こくり、と時折首が動いている辺り、いつの間にか眠ってしまったようだ。
バシャーモもまた、寄り添うAの温もりに誘われたのかもしれない。
「……」
普段あまり見ないバシャーモの姿を、Aはじっと見つめた。
同時にそんなバシャーモのことを愛らしく思い、彼の逞しい腕にそっと触れる。
「いつもありがとう」
そんなAの呟きに、眠りながらもバシャーモが小さく笑んだ、気がした。
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しぃ。様のリクで、バシャーモの甘めなお話です。
バシャーモのような強く逞しいポケモンに可愛らしいギャップがあるのってすごく好きなんですよ…
今回もリクエストありがとうございました…!
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玲那(プロフ) - あさまるさん» ありがとうございます!!リクにお応えするのがあまりに遅れてしまい、もう読んで頂けないかも…と思っていたので、無事にこんなにも早く読んでもらえて良かったです…。長らくお待たせしてしまいすみませんでした…!ドレディアちゃん、お気に召したようで嬉しいです! (2022年7月13日 1時) (レス) id: eab570aeda (このIDを非表示/違反報告)
あさまる(プロフ) - ドレディアちゃんのお話尊すぎてやばいです(語彙力低下)素敵なお話をありがとうございます……女子力カンストしてるドレディアちゃん本当にかわいくて最高でした! (2022年7月13日 0時) (レス) @page48 id: e90da45664 (このIDを非表示/違反報告)
朎(プロフ) - ニコメさん» コメントありがとうございます。大変嬉しいお言葉に感謝です…!少しずつではありますが今後も更新していきたいと思っております( ¨̮ ) (2022年5月15日 21時) (レス) id: c573d3791e (このIDを非表示/違反報告)
ニコメ(プロフ) - コメント失礼します。此方の短編集どれも面白い上に、語彙力も高いので度々参考にさせて頂いております。 主様も私情でお忙しいと思いますが、更新頑張ってください! (2022年5月15日 19時) (レス) id: 8fef5fb9e2 (このIDを非表示/違反報告)
朎(プロフ) - あさまるさん» こちらこそ、いつも読んで頂けているようで嬉しいです〜!ありがとうございます!リクエストでドレディア、了解しました! (2022年3月12日 21時) (レス) id: c573d3791e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玲那 | 作成日時:2021年10月25日 1時