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【サメハダー】気付いてほしい。 ページ16

Aが住む街には海に繋がる水路が広がっていて、Aの家の隣にもその水路があった。

水路の水は綺麗で、水ポケモンも多く住んでいる。
今日もAが普段通り水路の傍を歩いていると、突然隣から水をかき分けるような音が耳に届いた。

音の方を見ると、水面から長いヒレのようなものが突き出ており、道を歩くAと同じ速度で水路を進んでいる。

(サメハダーかな)
Aはすぐにそう察した。
だが特に気にする事もなく、Aはそのまま歩き続ける。
サメハダーと思われる長いヒレも、彼女に合わせて進み続ける。


しばらく歩いてもこの状態が続くので、Aは不思議に思い足を止めた。
すると、ヒレの動きもぴたりと止まる。

もう一度歩き出してみると、ヒレもまた進行を開始。
Uターンしてみると、それについてくる。

…これはまさか。

(狙われてる…!?)
Aにさっと寒気が走る。

このまま水路の近くを歩いていたら、ぱっくりと食べられてしまうかもしれない。
かといって逃げたら水路から飛び出してきて、そのままがぶりといかれてしまうかもしれない。

どちらに転んでも絶望しかない。
Aはただ固まって、水面から覗くヒレから目を離さずにいた。

すると、ちゃぷ、と音を立てて、サメハダーが水中から顔を見せた。
口から上を水上に出して、道で硬直しているAをじっと見上げる。

Aはそのまま動かずにいたが、サメハダーが襲ってくる気配はない。
「…………。」
ひたすら見つめ合う一人と一匹。

サメハダーに敵意はないと考えたAは、しゃがんで水路を覗き込むようにし、サメハダーと向き合ってみる。

「こんにちは」
とりあえずそう声をかける。サメハダーは返事はせず、Aを見つめ続けるのみ。

「…お腹空いてるのかな」
Aはそう呟いて、携帯していたポケモン用の食料を少し取り出し、サメハダーの前に優しく投げてやる。

水面に浮いた食料とAを、サメハダーは交互に見る。
数秒後、その食料を一口で平らげた。

「美味しい?」
そう聞いてみると、サメハダーは両脇のヒレをぴちぴちと動かして軽く水面を叩いて答える。悪くはなかったらしい。

(結構大人しめな子なのかな)
凶暴なイメージのサメハダーにしては…と考えていたところ、Aは用事の途中なのを思い出す。

「またね、ばいばい」
サメハダーに手を振って、Aはその場を後にする。

サメハダーはAを追うことはせず、彼女の背を見送っていた。

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玲那(プロフ) - あさまるさん» ありがとうございます!!リクにお応えするのがあまりに遅れてしまい、もう読んで頂けないかも…と思っていたので、無事にこんなにも早く読んでもらえて良かったです…。長らくお待たせしてしまいすみませんでした…!ドレディアちゃん、お気に召したようで嬉しいです! (2022年7月13日 1時) (レス) id: eab570aeda (このIDを非表示/違反報告)
あさまる(プロフ) - ドレディアちゃんのお話尊すぎてやばいです(語彙力低下)素敵なお話をありがとうございます……女子力カンストしてるドレディアちゃん本当にかわいくて最高でした! (2022年7月13日 0時) (レス) @page48 id: e90da45664 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ニコメさん» コメントありがとうございます。大変嬉しいお言葉に感謝です…!少しずつではありますが今後も更新していきたいと思っております( ¨̮ ) (2022年5月15日 21時) (レス) id: c573d3791e (このIDを非表示/違反報告)
ニコメ(プロフ) - コメント失礼します。此方の短編集どれも面白い上に、語彙力も高いので度々参考にさせて頂いております。 主様も私情でお忙しいと思いますが、更新頑張ってください! (2022年5月15日 19時) (レス) id: 8fef5fb9e2 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - あさまるさん» こちらこそ、いつも読んで頂けているようで嬉しいです〜!ありがとうございます!リクエストでドレディア、了解しました! (2022年3月12日 21時) (レス) id: c573d3791e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:玲那 | 作成日時:2021年10月25日 1時

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