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目の前に立ったギーマの片手がAの肩に添えられる。
何だろうと顔を上げた彼女の唇を、彼のもう片手の指がなぞった。
「いい子だから、もうお帰り」
にた、と笑んだ顔をそっとAに寄せ、諭すような声で囁く。
「……ぁ、」
近い顔の距離、唇をなぞる指。
色気をも含んだ笑み、声色。
ギーマのその仕草全ては、彼に好意を寄せるAを赤面させるには十分だった。
頬を染めて小さな声を洩らしたAに、ギーマは身を離さないまま ふ、と口角を上げる。
しかし同時に硬直してしまった彼女に、静かに話し始めた。
「…なぜわたしが、いつも君の帰宅を促しているのか…わかるかな?」
「…危ないから、って…」
「…それはもちろん。夜遅くまで出歩いて、君の身に何かあってはいけないからね。
…だがもう一つ…理由があるんだ」
ギーマはそう告げてAの唇から頬へと指を移動させ、そのままゆっくりと彼女の頬から首筋まで撫で下ろしていく。
「わたしが、Aを奪ってしまいたくなるからだよ」
「…えっ、」
彼の言葉を理解すれば、Aの顔はさらに熱を帯びる。
_それはつまり…期待しても、
そんな考えが浮かんでしまう。
「……わたしの、君に対する気持ち…知りたいかい?」
Aのその考えを見透かしたかのように、ギーマは問いを重ねた。
「……知りたい…教えて」
静かな青い瞳にじっと見つめられ、答えを求めてしまう。
Aの返答にギーマは満足そうに笑みを深める。
「ふふ、良い返事だ。…では、一つ勝負をしよう」
ギーマが着物の袂から金色のコインを取り出し、指先で弄ぶ。
「このコインを投げて表が出れば君の勝ち。わたしからの気持ちを伝えよう。
ただし…裏なら君の負け。今夜はお預けだ」
笑顔を意地の悪いものに変えるギーマに、Aの鼓動はまたどきりと跳ねる。
ああ、早く正解が知りたい。
早く彼に、好きだと言ってほしい。
「さあ、勝負」
ギーマが 勝負をしかけてきた。
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ポケモンでの作者の最推し、ギーマさんです…
BWのギーマも当然好きなんですけど、どちらかというとサンムーンのギーマ派です。着物、髪、廃れ様…(←) 全てが大罪。
ポケマスにサンムーンギーマさんが来ると知った日、友人と大騒ぎしてました……ガチャ実装はよ…
電車内でギーマさんの話題で騒いでる女3人ほどを見かけたら、その中の1人は多分作者だと思って下さい。(?)
ギーマ夢は確実にまた投下していきます。
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玲那(プロフ) - あさまるさん» ありがとうございます!!リクにお応えするのがあまりに遅れてしまい、もう読んで頂けないかも…と思っていたので、無事にこんなにも早く読んでもらえて良かったです…。長らくお待たせしてしまいすみませんでした…!ドレディアちゃん、お気に召したようで嬉しいです! (2022年7月13日 1時) (レス) id: eab570aeda (このIDを非表示/違反報告)
あさまる(プロフ) - ドレディアちゃんのお話尊すぎてやばいです(語彙力低下)素敵なお話をありがとうございます……女子力カンストしてるドレディアちゃん本当にかわいくて最高でした! (2022年7月13日 0時) (レス) @page48 id: e90da45664 (このIDを非表示/違反報告)
朎(プロフ) - ニコメさん» コメントありがとうございます。大変嬉しいお言葉に感謝です…!少しずつではありますが今後も更新していきたいと思っております( ¨̮ ) (2022年5月15日 21時) (レス) id: c573d3791e (このIDを非表示/違反報告)
ニコメ(プロフ) - コメント失礼します。此方の短編集どれも面白い上に、語彙力も高いので度々参考にさせて頂いております。 主様も私情でお忙しいと思いますが、更新頑張ってください! (2022年5月15日 19時) (レス) id: 8fef5fb9e2 (このIDを非表示/違反報告)
朎(プロフ) - あさまるさん» こちらこそ、いつも読んで頂けているようで嬉しいです〜!ありがとうございます!リクエストでドレディア、了解しました! (2022年3月12日 21時) (レス) id: c573d3791e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玲那 | 作成日時:2021年10月25日 1時