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そこから意外にも会話は弾み、気付けばそれなりの時間が経っていた。
「そろそろ本格的に冷え込んでくる。それにあまり女性が夜遅くに出歩くのも良くないだろう。このぐらいでお別れにしようか」
ギーマがAの身を配慮して気遣いの言葉をかける。
「そうですね。……あの、」
挨拶をして帰ろうとしたAだったが、心に引っ掛かりを感じてそのまま声を上げる。
彼と話していた時間は存外楽しく、終わってしまうのが惜しかった。
ギーマが何気なく放った爐別れにしようか瓩箸いΩ斥佞呂笋韻房笋靴Aに染み込む。
「また、ここに来たら…お話できたりしませんか」
気付けばAはそんなことを言っていた。
予想外の言葉だったのか、ギーマは一瞬驚いたような顔を見せたが、すぐに表情を緩める。
「…君が望むなら。何度でも会おう」
「…! はい!」
じゃあ次はこの日の夜に、なんて約束までしてからAはその場を後にした。
微笑み、ひらりと一度手を振って見送ってくれたギーマの姿は、密かにAの心に入り込んでいた。
その日以来、変わらず海辺でAとギーマは時々会うようになった。
一緒に時間を過ごしていくたび、Aはギーマに対し敬語をなくして話せるように。
ギーマは時折Aを彼女の自宅付近まで送っていくように。
それは二人の距離が確実に近くなっている証拠だった。
*
「__さて…今日はもうこの辺りにしておこう」
「え〜… そんなぁ…」
もう何度目かもわからない夜。
Aとギーマは今日もいろんな話をして、しばらくの時間を共に過ごした。
当初からずっと、Aの身を案じて彼女をあまり夜遅くまで外に出させておかないようにしていたギーマは、いつも区切りの良いところでAに帰宅を促す。
だが、どうやら今日はAが渋っているようだ。
「お願い、ギーマ。もうちょっとだけ…」
もう少しだけ、あなたと話したい。
…もっと、あなたと一緒にいたい。
(……だって、好きだから)
それを言葉にはできない。
これは使うことのできない、理由。
わかっていた。初めて会ったあの夜から、彼に惹かれていたこと。
一緒の時間を重ねるたび、次第に夢中になって、もう後戻りができない恋心へと変わっていたこと。
こんな恋情を隠し持っている自分を、彼はどう思うだろうか。
「……」
ギーマは渋るAの様子をしばらく見ていたが、すっ、と彼女へ歩み寄った。
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玲那(プロフ) - あさまるさん» ありがとうございます!!リクにお応えするのがあまりに遅れてしまい、もう読んで頂けないかも…と思っていたので、無事にこんなにも早く読んでもらえて良かったです…。長らくお待たせしてしまいすみませんでした…!ドレディアちゃん、お気に召したようで嬉しいです! (2022年7月13日 1時) (レス) id: eab570aeda (このIDを非表示/違反報告)
あさまる(プロフ) - ドレディアちゃんのお話尊すぎてやばいです(語彙力低下)素敵なお話をありがとうございます……女子力カンストしてるドレディアちゃん本当にかわいくて最高でした! (2022年7月13日 0時) (レス) @page48 id: e90da45664 (このIDを非表示/違反報告)
朎(プロフ) - ニコメさん» コメントありがとうございます。大変嬉しいお言葉に感謝です…!少しずつではありますが今後も更新していきたいと思っております( ¨̮ ) (2022年5月15日 21時) (レス) id: c573d3791e (このIDを非表示/違反報告)
ニコメ(プロフ) - コメント失礼します。此方の短編集どれも面白い上に、語彙力も高いので度々参考にさせて頂いております。 主様も私情でお忙しいと思いますが、更新頑張ってください! (2022年5月15日 19時) (レス) id: 8fef5fb9e2 (このIDを非表示/違反報告)
朎(プロフ) - あさまるさん» こちらこそ、いつも読んで頂けているようで嬉しいです〜!ありがとうございます!リクエストでドレディア、了解しました! (2022年3月12日 21時) (レス) id: c573d3791e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玲那 | 作成日時:2021年10月25日 1時