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〖ギーマ (サンムーン)〗答え合わせは勝負のあとで ページ13

まん丸いお月様の下、さくさくと砂を踏みしめるのはなかなか気分の良いものだった。

Aが帰り道になんとなく寄ってみた海辺。
そこを散歩しながら、景色を堪能する。

しばらく歩いていると、寄せては返す波打ち際に人が佇んでいるのが目に留まった。
ここまで自分以外に人の姿を見なかったから、あの人は一人で何をしているんだろうと思い、近くの岩陰に隠れてその後姿を眺めてみる。

真っ白な着物に身を包んだ、すらりとした細身の…背の高さから男性らしい。
じっと海を眺めているようだ。男性の黒いマフラーが緩やかな風に揺れている。…あ、頭が上がった。今度は月でも見ているのだろうか。確かに今日は綺麗な夜空だから__

「そこの、岩陰にいる子」
「…!?」
「…こちらにおいで」

着物の男性が、振り返らずにそう声をかけてきた。
Aの存在に気付いていたのだろうか。Aは少し躊躇ったが、穏やかなその声に誘われるようにおずおずと男性へ近付く。

Aが男性の背後で足を止めると、タイミングを見計らったかのように彼はゆっくりとこちらへ振り返った。

「おや…これは可愛らしいお嬢さんだ」
Aに向き直り、自身の口元に手を寄せてくすりと上品に笑う。

あらためて向かい合った男性。華奢な体躯に、恐ろしいほど白い肌。
彼の青い瞳は据わっており、目元には隈が浮かんでいる。
暗い見た目であるのに、そのどこか妖しい美しさにAは少なからずどきりとした。

「すまない、背後から視線のようなものを感じたのでつい呼んでしまった。
……夜に、一人でこんな場所にいるわたしが気になったかな」
「…はい、少しだけ。……嫌でしたか?」

Aは恐る恐る訊ねたが、男性は にこ、と優しく笑んでみせる。
「そんなことはない。むしろ、わたしなどにわずかでも興味を抱いてくれる子がいるとはね」

そこまで話してから、思い出したように男性はAの目を真っ直ぐに見る。
「失敬。まだ名乗ってもいなかったな。
わたしはギーマ、しがないギャンブラーさ」

ギーマと名乗った男性は次に犒は?瓩Aに問い首を軽く傾げた。

「Aといいます」
「A、か。…覚えておこう」

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玲那(プロフ) - あさまるさん» ありがとうございます!!リクにお応えするのがあまりに遅れてしまい、もう読んで頂けないかも…と思っていたので、無事にこんなにも早く読んでもらえて良かったです…。長らくお待たせしてしまいすみませんでした…!ドレディアちゃん、お気に召したようで嬉しいです! (2022年7月13日 1時) (レス) id: eab570aeda (このIDを非表示/違反報告)
あさまる(プロフ) - ドレディアちゃんのお話尊すぎてやばいです(語彙力低下)素敵なお話をありがとうございます……女子力カンストしてるドレディアちゃん本当にかわいくて最高でした! (2022年7月13日 0時) (レス) @page48 id: e90da45664 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ニコメさん» コメントありがとうございます。大変嬉しいお言葉に感謝です…!少しずつではありますが今後も更新していきたいと思っております( ¨̮ ) (2022年5月15日 21時) (レス) id: c573d3791e (このIDを非表示/違反報告)
ニコメ(プロフ) - コメント失礼します。此方の短編集どれも面白い上に、語彙力も高いので度々参考にさせて頂いております。 主様も私情でお忙しいと思いますが、更新頑張ってください! (2022年5月15日 19時) (レス) id: 8fef5fb9e2 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - あさまるさん» こちらこそ、いつも読んで頂けているようで嬉しいです〜!ありがとうございます!リクエストでドレディア、了解しました! (2022年3月12日 21時) (レス) id: c573d3791e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:玲那 | 作成日時:2021年10月25日 1時

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