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「…あのさ、」
トウヤが不意に声をかけてくる。
そわそわしていたAは、慌てて「何?」と笑んで返事をした。
「Aは、なんで僕を誘ってくれたの?」
…それなりに困る質問だ。
『トウヤが好きだから』なんて言えない。
もし言えたなら…。
……いっそ伝えてしまおうか。
これはむしろチャンス__
「お待たせしましたー」
Aが口を開きかけたところで、注文したクッキーを運んできた店員の声に遮られてしまう。
はっとして、気を取り直しクッキーを受け取った。
店員が去ったところで、Aはトウヤに向き直り改めて話し始める。
「ごめんね。…えっと、さっきの質問だけど…」
……やっぱり言えないよ、好きだなんて。
さっき覚悟を決めたのに、一度遮られたことで勇気が逃げてしまった。
「……A?」
言葉が続かないAに、トウヤは首を傾げる。
どうしよう、彼が戸惑っている。
早く、早く何か言わなければ__
「……ねえ、A」
しばらくAの様子を見ていたトウヤが、彼女の名を呼ぶ。
「じゃあさ、僕の気持ちを聞いてよ」
テーブルに並んだ皿からクッキーを一枚取りながら、トウヤはそう続けた。
「どうか驚かないで、落ち着いて聞いてほしいんだ」
言いながら、手に取ったクッキーをそっとAの口に押し込む。
ああ、こんなことされちゃ聞くことしかできないよ。
口を塞ぐように与えられたクッキーは、この先を予感させるように甘い。
トウヤの頬はほんのり赤く染まっていたが、その瞳は迷いなくAを見据えていた。
「僕は…Aのことが、」
恋が実るまで、もう少し。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
トレーナー夢、初投下。
記念すべき一人目はトウヤくんです。歴代主人公で一番好きですね……
元々好きだったのに、ポケマスでの彼は理想形態すぎて…見る度に泣いています(?)
このお話の舞台がクッキーの専門店なのは、作者がこの前友人とクッキーの専門店に行ったからです。「これはネタに使える」と思いました。クッキーはとても美味しかったです(クソ余談)
…ハロウィントウヤくん欲しかったな……はぁ……
〖ギーマ (サンムーン)〗答え合わせは勝負のあとで→←〖トウヤ〗そのクッキーの味は
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玲那(プロフ) - あさまるさん» ありがとうございます!!リクにお応えするのがあまりに遅れてしまい、もう読んで頂けないかも…と思っていたので、無事にこんなにも早く読んでもらえて良かったです…。長らくお待たせしてしまいすみませんでした…!ドレディアちゃん、お気に召したようで嬉しいです! (2022年7月13日 1時) (レス) id: eab570aeda (このIDを非表示/違反報告)
あさまる(プロフ) - ドレディアちゃんのお話尊すぎてやばいです(語彙力低下)素敵なお話をありがとうございます……女子力カンストしてるドレディアちゃん本当にかわいくて最高でした! (2022年7月13日 0時) (レス) @page48 id: e90da45664 (このIDを非表示/違反報告)
朎(プロフ) - ニコメさん» コメントありがとうございます。大変嬉しいお言葉に感謝です…!少しずつではありますが今後も更新していきたいと思っております( ¨̮ ) (2022年5月15日 21時) (レス) id: c573d3791e (このIDを非表示/違反報告)
ニコメ(プロフ) - コメント失礼します。此方の短編集どれも面白い上に、語彙力も高いので度々参考にさせて頂いております。 主様も私情でお忙しいと思いますが、更新頑張ってください! (2022年5月15日 19時) (レス) id: 8fef5fb9e2 (このIDを非表示/違反報告)
朎(プロフ) - あさまるさん» こちらこそ、いつも読んで頂けているようで嬉しいです〜!ありがとうございます!リクエストでドレディア、了解しました! (2022年3月12日 21時) (レス) id: c573d3791e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玲那 | 作成日時:2021年10月25日 1時