再会 ページ10
皆、昔より若干顔が暗い。
私がライターだった頃は、あんな絶望的な顔をしていなかったと思うんだが。
国の事で忙しいのだろうか。
彼等は昔から、何かに夢中になると無理をし過ぎてしまうところがある。
体調を崩してないと良いのだが.......
グ「どうした？私の顔に何か付いているか？」
彼等の顔色を確認していると、村人を見渡していた彼の紅い瞳が、不意にこちらへと向けられた。
１秒......いや、0,5秒だっただろうか。
一瞬だけその目が私を貫いてしまい、慌てて顔を俯かせた。
『い、いえ！あまりにお美しいので、つい見惚れてしまいました』
グ「........そうか」
普段より少し高い声で、彼等に心酔する村娘を演じる。
少し不審過ぎたかと心配になったが、彼は一言そう言って、特に何をする事もなく村の中へと歩みを進めた。
失態だ。
再会した感動のせいで、気を抜いてしまっていた。
......しかし分かった事がある。彼等の様子からして、彼等には前世の記憶がない。
だが、思い出してしまうかもしれない。それだけは駄目だ。もっと、もっと成り切らないと、彼等に違和感を与えてしまう。
また、彼等に迷惑を掛けてしまう。
私はエリザベス。彼等の事が好きな、何処にでもいる村娘。
子「エリザベスさん、大丈夫？」
『え？』
子「さっきからずっと頭下げたまんまで.....体調でも悪いん？」
『う、ううん！そんな事ないで？
あ、総統閣下は！？』
子「もう向こう行ったで。はよ行こうや！」
『そうやね！』
本当に賢い子だ。約束をきちんと守って。将来はきっと大物になるだろう。
少年の手助けにより、総統達を取り囲む人だかりに違和感無く溶け込む。
彼等は丁度、今回この村に来た理由を話すところだった。
グ「
人探しだ」
ドクン、と心臓がその鼓動を速める。
人探し？彼等が私を探すわけがないし、一体誰を......？
グ「人探しの件は、
ところで、この村の土地に関して詳しい者はいるか？田畑について聞きたいのだが」
村「それなら、村長であるワシがお教えいたしましょう。どうぞワシの家へ」
気にしないでと言われると余計に気になるのは、人間の性か。
彼等が誰を探しているのか気になって気になって、物凄く胸がモヤモヤする。
それに気を取られていたからか、私の背後に「脅威」が迫っている事に、全く気付けなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1320人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とうみん(プロフ) - あなたの作品は情景描写がとても綺麗で、つい作品の世界観にのめり込んでしまいました。有名な小説家にも文才などありません。何度も何度も書き直してやっと傑作が生まれるのです。偉そうなことを言ってすみません。とてもおもしろかったです。ありがとうございました。 (9月3日 18時) (
レス) @page36 id: a126db2d2e (このIDを非表示/違反報告)
るる - 読んでいてとても面白かったですよありがとうございます (2022年12月25日 16時) (レス) @page36 id: a2a90b5064 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメル(プロフ) - またいつか、続きを書く気持ちが湧いたならどれだけ時が経っていようとも、遠慮せず作品をまた更新してください。どうか、貴方様の作品を心の底から待っている人がいることを忘れないでください。本当にありがとうございました。コメント2つもしてすいません！ (2022年8月17日 12時) (レス) id: 803f58ab86 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメル(プロフ) - 打ち切りの言葉にはショックを受けましたが、読んでいるだけの私には分からない作者様だけの事情もあると理解しました。面白く、読みがいのある作品をどうもありがとうございました。 (2022年8月17日 12時) (レス) @page36 id: 803f58ab86 (このIDを非表示/違反報告)
Ajisaaaai(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました (2020年12月3日 8時) (レス) id: 4585525dae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：クレア | 作成日時：2019年10月26日 16時
