ボカロ小説【鬼滅の刃】

続き ページ26

「義勇もその浴衣、すっごく似合ってる」


「それだけ。早く行こ！」と彼女は義勇の手を掴み歩き出す

まさか褒めてくれると思ってもいなかった義勇は顔が微かに赤くなっていくのを感じた


義「っ…あぁ」


…


夏祭りが終わりまたいつもの夜に戻る

彼女がいつもよりも色っぽく見えて俺は彼女から目がそらせなかった


「子供の頃に戻ったみたいに楽しかったね！」

義「また来年も一緒に行くか？」

「えーっと…」


言いにくそうに彼女は視線をそらす


「…ごめん。もう会えないんだ」

義「…は」


急に言われても困る。何故と聞こうとすると彼女は遮ってこう言い放った


「私ね、数ヵ月後に死んじゃうんだ。お医者様も治せない病気だって言ってたの」


信じられなかった

笑顔の裏にそんな大きな悩みを抱えてまで来てくれたことに


義「…怖くないのか」

「勿論怖いよ。でもね、それが宿命だから怖くないって自分に言い聞かせてるの

もう帰ったらずっと寝たきりになると思うけど、最後に義勇とお祭り行けて楽しかった」


「今まで本当にありがとう。私、帰るね」そう言い彼女は列車に乗ってしまった


義「待ってくれ…！！」


伸ばした手は空気を切る

蝉の音がやけにうるさく感じて

列車の中にいる彼女は悲しそうに微笑んでいて

まるでこの列車は地獄行きかのように感じる


『まもなく発車します』


扉越しに彼女が最後に話した言葉が


「さよなら」だった


街灯に照らされた義勇の顔は涙でぐちゃぐちゃで彼の影が出来ている

嘘だ嘘だと自分に言い聞かせた

こんな悲しくなったのは何年ぶりだろうか

こんな涙を流したのは何年ぶりだろうか

遠くへと彼女が消えていく

俺を置いて遠いところへ消えていく


義「っ…！！！」


声を押し殺し泣いた

泣かずにはいられなかった

どうして気付いてやれなかったのだろう

どうして彼女がこんな目に合わなければならないのだろう

どうにしたってもう彼女は戻ってこないのに



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炭「義勇さん！！」

義「ﾋﾞｸｯ)…何だ」

炭「お話があると言われ来たのですが、寝てしまっていたので…」


炭治郎はそう言うと口を閉ざし顔を俯かせた


義「…匂うのか」

炭「すみません！雨のような悲しい匂いがして…」

義「…気にしてない。それより呼吸のことだが…」


長い夢を見た気がした

でもそれは曖昧でよく思い出せない

だけど二度と見たくもない夢だということは確かだった

僕が名前を呼ぶ日/伊之助(現パロ)→←いかないで/義勇(リク)

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