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おしごと【マッチ】 ページ3

 あーあ、もう少し遊んでいたかったなぁ……なーんて浮ついた気持ちを、わたしぐっと堪えます。遊ぶために日本(ここ)にいるわけではないのですから。でも、"向こうの世界"で出来なかったことをここで目いっぱい出来たらな……とか思ってたりは。

 ちょっと遊んでいて通知に気づかなかったなんてことは黙っておくとして、わたしは真新しい携帯電話の通知に目を通します。まだ使い方はよく分からないけれど、確かここを押せばメールが――、


「――――わっ!?」

 突然の着信音に、わたしはつい端末を投げかけましたが、落としてしまっては怒られます。震える指で、電話のマークを押しました。
 電話はシンデレラさんからでした。今いる場所を伝えるとシンデレラさんはわたしにお願いがあると言いました。

「あのね、今女王さま……そう、出版社の女王さまが、幻想図書館の近くで待ち伏せてる。だから、貴方が引きつけて、図書館から遠ざけて欲しいの。
――お願いできるかしら、マッチ?」

 おしごと。
 わたしの、おしごとです。

「わかりました」

 わたしは短く伝えると、携帯電話をポケットに入れ、反対側のポケットから一束のマッチ棒を取り出しました。大きくはせず、袖に隠します。いつでもたたかえるように。

 幻想図書館さんはすぐそこです。体力に自信の無いわたしでも、すぐに辿り着きます。でもいつもよりペースを上げて、わたしは歩き始めました。
 歩いている途中でふと思いました。この辺りを覆っている霧は、きっと相手の能力のもの。霧は水で出来ているのだと、学校の先生は言っていました。だから、マッチ棒は湿気ている……かも。

 大きくは出来ても、火が出ないかもしれない。それだとただの棒です。それも考えておかなければいけません。まあ、武器が何もないよりかはマシです。それに、ハートの女王さん(おねーさん)を遠ざけるだけなら、武器は無くてもきっと大丈夫。だってあの人は強引に誘わなくてもあの人から追いかけてくるので……。ちょっと怖いですけど。
 でもうまくいけば、お菓子をくれるかもしれません。おしごとだって、うまくいけばお菓子をくれるかもしれません。褒めてだって、もらえるかもしれません。


 霧の奥、建物が見えました。その前に、ちょっと背の高い、すらりとした女性の影。
 わたしは歩みを緩めながら近づき、少し口角を上げ、声をかけました。
 さあ、おしごとの始まりです。


「こんにちは、おねーさん」

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あぷり(元はる櫻)(プロフ) - 続編で更新します (2017年12月16日 17時) (レス) id: 1e40ca4b4e (このIDを非表示/違反報告)
総悟13@サブ垢(プロフ) - 終わりました (2017年12月16日 14時) (レス) id: 296183b3c6 (このIDを非表示/違反報告)
総悟13@サブ垢(プロフ) - 更新します (2017年12月16日 14時) (レス) id: 296183b3c6 (このIDを非表示/違反報告)
ツバサ(プロフ) - 総悟13@サブ垢さん» 遅くなってすみません、終わりました。 (2017年12月16日 13時) (レス) id: 0d08c1bb88 (このIDを非表示/違反報告)
梨紗(プロフ) - http://uranai.nosv.org/u.php/novel/e071ba2eb19/ 続編です。皆様の予約が終わり次第関連付けしますが、もし足りなくなった場合にはこちらに。 (2017年12月15日 19時) (レス) id: d43f25135a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:梨紗 x他15人 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年12月3日 18時

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