四季紡ぎ。

執着心【時雨水埜】 ページ33

「痛たたた…」

破壊者からの攻撃を受けてから30分後ぐらいに意識が戻って来た
無理矢理に身を起こすと頭に痛みが走る

手を頭に当てると真っ赤な液体が付いた
「この血で楽譜、汚れないかな…」

そう呟いて触った利き手の左手とは別に
右手で楽譜を守るように覆う

「この怪我のままか…」

周りに仲間はもうほとんどと言っていいほどいない
さっきのは俺の不注意だったし

それにこの危機で自分のことなんか言ってらんない

「よし…」

千鳥足なものの前に進む
もしも倒れちゃったら…放置してもらってもいいか

「俺、後方だしね…」

そう言って先程までいた場所に戻る
周りの人も驚いている表情をした人が多かった

「俺、執着することだけは…破壊者に負けませんから」

そう言って口角を歪ませる
と同時に雨を降らせた

気のせいかもしれないが勢いがいつもよりも強い気がする
振った雨は俺達周りに大量の水溜を作った

この水溜に味方に対する害はない
ただ、破壊者側には何らかの害があるらしい

「皆様のこと、よくも傷付けてくれましたね…」

相変わらずボソッと呟くだけだが
ちゃんと聞こえてるだろうか

「皆様はいい人なんですよ、俺みたいなのでも相手にしてくれるから
でも、そんな皆様を傷付けた破壊者は…

絶対に許せません」

そう、俺は執着心が強いのだ

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