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ま「そ、そそそそそ、そらるさん」
そ「はいなんでしょう」
ま「緊張します……!」
そ「そうだね」
ま「適当すぎません!?」
軽く過呼吸になりそうな息をなんとか落ち着かせようとこっそりポケットに忍ばせておいたお守りを触る。
瞬間、もらったときの記憶が蘇り胸がぎゅうと締め付けられる。
一人で嬉しくなって、笑っていると他の歌い手さんたちに変な目で見られてしまった。
それでも、やっぱり頰は緩んでしまう。
あぁ、
ま「好きだなぁ………」
出番になってステージに出て、話したり、歌ったりして、
………Aちゃんを見つけた。
思わず歌詞が飛びそうになった。嬉しくて笑顔になってしまった。
普段の厚底じゃないせいか、ちっちゃくて可愛い身長。たくさんグッズも買ってて、恥ずかしそうにペンライトを振っている。
可愛い……!まるでAちゃんが自分のものになったような錯覚に陥ってしまう。
でも、Aちゃんにばかり視線を向けていたら一部の人に目を付けられてしまうかもしれないからたくさんの人に届くように歌う。
でも、それでも、結局目はAちゃんへ向かう。
体は正直だ。
最後の歌が終わった。みんな汗だくだくで、ちょっと死にそうな人もいるぐらい。
僕も、普段使わない筋肉と体力を使い果たして貧血気味というか、気持ち悪い………
そらるさんに肩を貸してもらいながら楽屋に戻ると公演前までは置いてなかった真っ白な花で彩られた花束が置いてあった。
とてもセンスが良くて、思わず感嘆の声が出る。
ま「えっと、どちら様からで……?」
スタッフ「金髪の女の子がまふまふさんにと。困るといったのですが、捨てるでもなんでもいいのでもらってくださいと、押し切られてしまって……」
そ「それって、あのマネージャーさん?」
ま「………スタッフです……そらるさん」
呆然としながらも、居ても立っても居られず、思わず携帯に手を触れる。
しゃ、写真撮る?お礼のメール?
会いに行きたい!けど…………
他の歌い手さんたちもぞろぞろと楽屋に戻ってきて「何これー」なんて、匂いを嗅いだりしている。
会いたいけど、疲れ果てて力が出ない……
そ「どうした?」
ま「自分の、非力さに絶望してます」
そ「うわ、また中二モードかよ」
なんで、足が動かないんだろう。
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作者名:ぎんさむ | 作成日時:2018年6月20日 1時