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ついに地方大会前日。
選手4人は先に現地に向かい、ホテルに泊まることになっていた。
私と江と天方先生は明日の朝イチで会場に向かう予定だ。
江「出来た!どうかな?」
バサッと江が広げたのは新しい横断幕。
既に外は暗くなっていて、ギリギリ完成したものだった。
ちなみに私はあまりこういったものは得意ではないため、色塗りの手伝いと、差し入れの買い出し係である。
花「惜しいなぁ、絵が」
私が口に出さなかったことを、ハッキリと言う江の友達の花ちゃんについ吹き出してしまった。
江「うるさいなぁ!Aちゃんも笑わないで!」
『ごめんって』
謝りながらも肩を震わす私に、江が頬を膨らました。
天「3人とも早く帰らないと。明日朝早いんだから」
そこに天方先生がやってきて、江がもう少しで終わると言いかけたところで、江のケータイが鳴った。
江「お兄ちゃん?」
江の呟きに、ドキリと心臓が跳ねる。
もう気にしないと決めたのに、なんでよと自分にため息をついた。
_____…
江から連絡先を聞い、怜を呼び出した凛。
この前答えられなかった怜の質問の答えを、自分のケジメがつかないからと話し始めた。
水泳を辞めた本当の理由
遙と泳いで吹っ切れたこと
県大会で見たリレーで昔のリレーを思い出してしまったこと
凛「俺は鮫柄でリレーを泳ぐ。そこで最高の泳ぎを見せてやる。だからお前も自分のチームで、ハル達と精一杯やれ。ただし、そこでやるからにはみっともねえ泳ぎは見せんな」
凛の言葉に、怜は何も言うことが出来なかった。
凛「それと…Aにはもう近づかねえ。だからお前が気にかけてやれ。アイツは自分が思ってるほど、強くねぇんだ…大丈夫って言ってても、全然大丈夫じゃねぇんだよ」
「それだけだ。呼び出して悪かったな」そう言って凛は怜を置いて歩いていった。
口をきつく結んだ怜は、暫くその場から動くことが出来なかった。
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作者名:アコ | 作成日時:2021年10月24日 2時