Free! ES OVA 【山崎宗介】

32.…もう一回。(最終話) ページ33

『ねぇ、宗介。お腹空かない？』


あの後、お菓子を食べたいと駄々をこねるAをベッドに引きずって連れて行き、強制的に寝かせた。
宗介も電気を消して月明かりを頼りにAの横に寝っ転がる。


案外落ち着いている自分に、安心し目を閉じれば隣から聞こえたAの言葉に目を開く。


宗「太るぞ。」


『う…宗介、私太った？』


弱々しい声に、しまったとAの方を向く。
流石に"太る"という単語は禁句だった。


宗「太ってねえよ、これ以上食ったら太るかもしんねえってこと。」


『んー…じゃあ我慢する。』


Aはモゾモゾと動いて宗介の背中に腕を回した。
その時にフワリと香ったシャンプーの香りに宗介は顔を顰めた。


宗(俺も我慢してんだから、それぐらい我慢しろ。)


なんて言えるはずもなく…宗介もAに腕を回した。


宗「A。」


『んー？』


名前を呼べば何だと言ったように顔を上げるA。
そんなAに宗介は小さく笑い、「なに？」と言いかけた彼女の口を塞いだ。


『なっ、にっ…えっ！』


触れるだけで離れれば、暗闇でもわかるほど顔を真っ赤に染めたA。

宗「たまには良いだろ。」


彼女に合わせて普段我慢しているんだ、これくらいは許してほしいと、宗介はしらっと答える。


『バカっ』


Aは熱の引かない真っ赤な顔でそう言うと、宗介の胸に顔を埋めた。


そんなAの髪を撫で、宗介は再び目を閉じた。









(ねぇ、宗介。)

(ん？)

(…もう一回。)

(？！)







END

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