幼馴染【2】 -S and Ki-

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ホテルに着いてからは、

やけに冷静な私がいた。





前みたいに泣き崩れたり、
一日中泣いて過ごしたりはしない。


なぜか泣けなかった。


あっさりと仕事だという嘘を受け入れている自分がいた。


ほんとに終わったんだなぁ…



期待していた分、
胸は痛むけどそんなの問題じゃない。


今までただひたすらに健永だけを想ってきた自分が本当にバカバカしかった。


健永は何歩も先を行っていたのに、
それに気付かず
同じ歩幅だと信じて疑わなかった。



バカな私。







そんな時に鳴った携帯。

画面も見ずにゆっくり画面を押す。

応答のボタン。






「はい、もしもし」


「あ、もしもし？

お誕生日おめでとう」



「…。」


「Aちゃん？もしもし？」



「…。」





声と、優しい口調だけで分かってしまった。


こんな優しい声を聞いたら頼りたくなってしまう。









「きっ、北山さんっ」



「うん？」



「なんでっ、なんで誕生日…」



「この前そんな話ししたじゃん。
遅くなっちゃったけど…ごめんね」




必死で首を横に振って否定するけど、
電話越しの北山さんには伝わらない





「泣いてんの？」

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