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「ふふ、ね、緊張してる？」
「あたりまえじゃないですか…」
付き合ってもないのに、こんなこと…
大人な太輔先輩にとっては普通のことでも、
私には大きなこと。
恥ずかしがってる私を見て太輔先輩が嬉しそうに笑うから、もっと恥ずかしくなった。
「やっぱAちゃん好きだなー」
「なっ！」
さらっと言われた"好き"
さらに上がる体温。
心臓がドキドキいって鳴り止まない。
好きなわけじゃないのに…
私が好きなのは…
頭に思い浮かんだ顔を消すように、
あわてて首を横に振った。
そんな時
「おお！久しぶりじゃん！」
太輔先輩の足が誰かの前で止まった。
手を繋いでるってそれだけで、
いっぱいいっぱいだったのに、
「あ、久しぶり」
その声を聞いた瞬間に血の気が引いた。
玉森くん。
間違いない、この声は。
この喋り方は。
思い浮かべた瞬間に現れた本人。
嬉しい。
それが一番に思った、素直な気持ちだった。
でも、
「彼女？」
繋がれた手を見てそう聞いた玉森くん。
「ち、ちがっ」
「まあね、そんな感じかな」
慌てて否定しようとした私にかぶせて、
太輔先輩は曖昧な返事をした。
「そうなんだ。いいね」
「…」
完全に勘違いされた。
1番そう思われたくない人に、
付き合ってるってそんな勘違いをされてしまった。
「たまには顔出せよ」
「うん、じゃあね」
太輔先輩に手を振ってから、
最後にペコッと私に会釈して去っていった。
まるで初対面みたいな。
そんな態度だった。
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作者名：None | 作成日時：2018年2月27日 17時
