24 ページ24
言ってしまった。
半分無意識的に出てしまった言葉に、今更ながら慌てる。
「い、いや！そういうんじゃなくて」
「…」
「えっとー…」
下手な言い訳は良くないと分かってても、誤魔化し
の言葉が頭の中をぐるぐる回る。
.
.
とりあえず何か言わなきゃいけないと開いた口は、何か発することなく閉ざされた。
「ごめん」
その言葉に。
唇が離れてから見つめあったままだった目が、
そこで逸らされた。
「今の忘れて」
手を伸ばせば届く距離にいた玉森くんは私に背を向けた。
「バスなくなっちゃった。
ミツに迎えに来てもらうね」
そう言い残すと、
電話をするために遠く離れていった。
思いついていた誤魔化しも一斉にどこか飛んでいった。
ああ、フラれたんだ。
キスされたことも、
安心するって言ってくれたことも、
なかなか理解できなかったのに。
何故かこの事だけは、
スッと受け入れられた。
立っていることが辛くなって
近くにあったベンチに腰掛けた。
携帯で確認すると、23時をすぎた頃。
さっきまであんなに綺麗だった景色も、
今ではただの光の集合にしか見えない。
泣きたくないのに。
次から次へと流れる涙のしょっぱさは、
私に初めての失恋を思い知らせた。
「ミツ、来てくれるって。降りよっか」
綺麗な顔をが少し歪んでいるのは、
私の涙のせいだろうか。
泣いているのは私のはずなのに、
玉森くんも泣きそうに見えた。
「うん…」
頷いたあとは2人ともなにも喋らなかった。
途中で落し物のことを思い出して、探さなくていいのか聞こうとしたけどやめた。
声さえも、喉を通らなかったから。
私とは探したくないとでも言われてしまったら
立ち直れないと思ったから。
失恋した私はこんなにも弱い。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 139人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：None | 作成日時：2018年2月27日 17時
