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バスで揺られること30分
その間は、
ぽつりぽつりと言葉を交わす程度。
それでも隣にいられるだけで嬉しかった。
時々見せてくれる笑顔が眩しくて、
見られることが嬉しくて。
ずっと続けばいいのに。
"ずっと"なんて続くはずもなく…
私の願いも虚しくバスを下ろされてから、
さらに15分くらい歩いたところから数日前の山登りの再現がスタート。
「暗いね」
携帯のライトで照らしながら一歩一歩進んで行く。
落としたものを見逃さないように。
大きく目を開いて。
ここで重大なことに気づく。
「え…」
「ん？」
何探してるんだっけ…
落し物したとは聞いたけど何落としたかは聞いてない。
あれ…？
「なに、どうしたの。怖いんだけど」
玉森くんは、
え…とだけ言ってそのまま黙り込んだ私を、
わざとらしく胸の前で腕をクロスして、気味悪そうに見た。
俯いていた顔をおそるおそるあげて、聞く。
「玉森くん…なに落としたの？」
「あーー、
はは、やっぱり？
言ってないはずなのに、必死に何探してるんだろうなーって思ってたの」
いつも通り涼しい顔で言ってのけた玉森くん。
「ひ、ひど！」
最悪。
まず目的地に着くことに必死で考えてなかった。
必死で"何か"を探してた私のこと、
心の中で笑ってたらしい。
「はー、おもしろいね。平野って」
「面白くないから！」
「ははは」
確かにバカだけど…
自分がここまでのバカだとは思わなかった。
軽く落ち込む。
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作者名：None | 作成日時：2018年2月27日 17時
