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満足気にアームバーを引っ張る彼をぽーと眺めていた。
「あともうちょい重くできるか？」
急に声をかけられ少し驚いたがすぐに「出来るよ」と私は重りを足した。ナワーブはまるで初めておもちゃを与えられた子供のように楽しそうに筋トレをしている。私が言えたことでは無いが体を動かすことは好きなんだろうな。いつの間にやら上裸になっていた彼は重くなったアームバーをまた必死に引っ張り始めた。
「お前さ、」
「んー？」
「俺に告白しただろ」
驚いた。そんな話を振られるなんて思いもしなかったから思わず本を持つ手が力んでしまった。あぁあぁ、ページに皺が。
「急に何……」
「あれは本気だったんだよな」
変わらず動きを止めずに話続ける彼。黙っていても仕方が無いんだろうか。私は少し悩んだ素振りをして答えた。
「本気だったね」
「ふぅん」
それだけなのか。少し期待して損した、と私は文章に視線を戻す。キィ、キィという音の中に彼の息遣いが混ざり正直とてもドキドキしている。
ハンターに追われている時のような緊迫感とは違う心地よい様な不思議な感覚だ。
「疲れてない？水あるよ。少し休めば？」
聞けば彼は少し悩んでからアームバーは上に戻し手を離した。初めて器具を使うと体制がしっかりとしていなかったりするのにあまり気になるところはなかったなと感心しながら水を手渡す。
彼はペットボトルの蓋を器用に開けて口をつける。喉仏が上下にごくごくと動くのを眺めていると半分ほど飲んだところで彼は口を離した。
「お前は聞かねーの？」
一息ついて彼はそう言った。考える間もなく何が言いたいかは分かったがそれを聞く勇気が私には無い。それを察してか無意識か彼はそう言ったのだ。
「何が？」
「俺だってしたろ。告白」
逃げ道を無くされてしまった。
「聞かないよ。分かってるから」
「ふぅん」
つまらなそうに彼は言った。だってそうだろう。ナワーブは私の体質によって脳みそを変えられた被害者のひとりだ。
流石にあの時本気だったかなんて私にはわかる。
その呪いが解けてしまった今、そうは思っていないことも分かっている。だから期待をしないために私は口に出したくはなかったのだ。
口に出せば、今起こっている魔法のような環境が崩れそうだったから。
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とびこ(プロフ) - 焼きそばパン粉さん» めっちゃ嬉しいです！最近全体的に更新滞ってましたがまた機会を見つけて作ろうと思います！ありがとうございます！ (5月31日 22時) (
レス) id: a150e1a772 (このIDを非表示/違反報告)
焼きそばパン粉(プロフ) - ここまで一気見しましたが、とてもおもしろい物語でした！特に女性ハンターやサバイバーとの絡みがとても好きで、ハンター問わずの女子会とか飲み会とかもっと見たいなと思っていたんです！もし、作者様のお時間がお有りでしたら、番外編！とても楽しみにしています！ (5月29日 15時) (レス) @page45 id: a4641315f9 (このIDを非表示/違反報告)
とびこ(プロフ) - 黒猫山さん» 毎パートコメントいただけて嬉しかったです。ずっと応援していただいてありがとうございます！次に行くか続編に行くかまだ決め兼ねているのですがそう言っていただけるだけで嬉しいです。 (2023年4月26日 8時) (レス) id: a150e1a772 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫山 - 完結してる！おめでとうございます！別の小説とか書くのであれば応援してます！ (2023年4月26日 6時) (レス) @page45 id: 3a62e4e3a3 (このIDを非表示/違反報告)
とびこ(プロフ) - 黒猫山さん» いつもコメントありがとうございます！！頑張ります！ (2023年4月14日 20時) (レス) id: a150e1a772 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とびこ | 作成日時：2023年4月13日 6時
