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「……う、おぇ、ひ」
嗚咽が部屋中に響き、見ている人達は心配そうに私を見る。呪術師は背中を擦りながら毎度グラスを手渡してくる。
「も……やだ。やだぁ……。う、」
顔を全てビシャビシャにしながら訴えても呪術師は「だめだ」と聞いてはくれない。私は泣きながらちびちびと水を飲み込む。
「もうすぐだ、せり上ってくる感覚がするだろう。そのまま吐き出せ」
「ぐ、うえぇ……」
水とは違う、固形物のようなものがセリアがってくるような感覚にますます不快感が襲う。びちゃびちゃと吐き出される水は濁りがあるように見えた。
「きた、次だ。次に出てくる。一番苦しいがこれで終いだ。頑張るんだ」
そう言って渡された最後のグラスを飲み干す胃が一番ぎゅうと圧縮されて苦しい感覚にゴポゴポという音がお腹から鳴った。
どろ、と口から気持ちが悪い何かが出た。どんどん粘着性のある黒い何が吐き出されて行く。咄嗟に口を閉じようとするのを呪術師の手によって防がれた。
もうなされるがままに嗚咽を出すことしか出来ない。最後にごきゅ、という嫌な音がして最後に固形物のような黒い物体をぼろっと吐き出した。
体内の窮屈感が無くなって勢いよく酸素を吸い込む。過呼吸のように細かく息を吸ったり吐いたりを繰り返すとナワーブが私の背中を摩ってくれた。
「これは、推測通り。アスモデウスという悪魔だ」
「アスモデウス……？」
私の代わりにナワーブが口を開く。私は彼の腕の中で浅く呼吸を繰り返している。
「色欲や嫉妬を操る悪魔だ。この悪魔に魅入られたせいで君の体質だと思っていた力が君に芽生えたわけだ」
「……はぁ、は。あ、くま」
「これを吐き出せたならこっちのものだ。もう君は大丈夫。あとは任せてくれて構わない」
「終わっ、た……？」
「あぁ、終わった」
そう言って呪術師は私の頭を優しく撫でた。あれだけ表情を変えず淡々としていたのに今はすごく優しげに笑っている。私は思わず魅入られたように彼女の顔を見てしまう。
「パトリシア・ドーヴァル。これが私の名だ」
「ドーヴァルさん」
小さく呟くと彼女は少し残念そうに眉を下げる。
「ふむ。初めはそうで構わない。しかし、私はこう呼ばせてもらうぞ。A」
「えっと……」
驚いて何も言えずにいると彼女は私の前に手を差し出した。
「私は君と対等に友達になりたいと思っていたんだ」
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とびこ(プロフ) - 焼きそばパン粉さん» めっちゃ嬉しいです！最近全体的に更新滞ってましたがまた機会を見つけて作ろうと思います！ありがとうございます！ (5月31日 22時) (
レス) id: a150e1a772 (このIDを非表示/違反報告)
焼きそばパン粉(プロフ) - ここまで一気見しましたが、とてもおもしろい物語でした！特に女性ハンターやサバイバーとの絡みがとても好きで、ハンター問わずの女子会とか飲み会とかもっと見たいなと思っていたんです！もし、作者様のお時間がお有りでしたら、番外編！とても楽しみにしています！ (5月29日 15時) (レス) @page45 id: a4641315f9 (このIDを非表示/違反報告)
とびこ(プロフ) - 黒猫山さん» 毎パートコメントいただけて嬉しかったです。ずっと応援していただいてありがとうございます！次に行くか続編に行くかまだ決め兼ねているのですがそう言っていただけるだけで嬉しいです。 (2023年4月26日 8時) (レス) id: a150e1a772 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫山 - 完結してる！おめでとうございます！別の小説とか書くのであれば応援してます！ (2023年4月26日 6時) (レス) @page45 id: 3a62e4e3a3 (このIDを非表示/違反報告)
とびこ(プロフ) - 黒猫山さん» いつもコメントありがとうございます！！頑張ります！ (2023年4月14日 20時) (レス) id: a150e1a772 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とびこ | 作成日時：2023年4月13日 6時
