123 ページ26
毎夜辛かった。好きでもない男の種を毎日不安になりながら受け入れる日々だ。幸い種無しだったらしいが。
十九になってすぐ、奴は私を殴った。初めての出来事で異様に混乱したのを覚えている。理性を失った目をして私の首を絞め馬乗りとなった。
その姿には見覚えがある。私と関係を続けてきた人は何故か数カ月すると乱暴に私を犯そうとするのだ。
思わずだった。殺される。そう感じて金持ちの家によくあるツボを勢い良く奴の頭に振りかぶった。飛ぶ血しぶきも呻く声も無視をして緩んだ手を勢い良く振り払い次に私はやつを馬乗りにし、割れた破片を首の大きな血管めがけて刺した。
赤のスプリンクラーを浴びて私はそいつの息がしていないことを確認し、窓から逃げ。やってやった。そう思った。
しかし、国王が死んだことはすぐに国中に広まった。私が失踪したことも。犯人は私だと断定され家にも帰れなくなり行き場を失った私は隣国に徒歩で逃げることにした。
生きていくのは簡単だった。皮肉にも私の体質が役に立ったのだ。
金も、生きる場所も、食事も得るのは簡単だった。対価が必要だったでその対価を払えばなんだって出来た。むしろ向こうから交渉してくれることだってあった。みすぼらしい振りをしていればなんだって
生きていくには必要なことだと割り切ってきたが、いつかのある日急に感じた違和感があった。
なぜ、好きでもない人に身体を触られるのが嫌で殺したのに私は身売りをしているんだろう。
気がついた時自分でも酷い吐き気と恐怖が込み上げた。
その頃、あの国で起こった事件は全国に大きく広まった。国王が死んだとなれば当然で自然と私の耳にも入った。
『戦場の誘惑』の犯行。
初めて聞いた異名だが私だと分かった。誰がいつ誘惑したというのか。
私の意思など無視し、欲をぶつけ、玩具にしてきたじゃないか。
なぜ、私が悪なのか。何故奴らは被害者なのか。思い詰めれば詰めるほど恨みになった。
私は、誰にも出会わないよう樹海のように真っ暗な森でひっそりと生きることとした。幸い、動物にもこの力は適応されるようで襲われることもない。
そんな時だった。誰宛かも分からない招待状が届いたのは。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 30人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とびこ(プロフ) - 焼きそばパン粉さん» めっちゃ嬉しいです！最近全体的に更新滞ってましたがまた機会を見つけて作ろうと思います！ありがとうございます！ (5月31日 22時) (
レス) id: a150e1a772 (このIDを非表示/違反報告)
焼きそばパン粉(プロフ) - ここまで一気見しましたが、とてもおもしろい物語でした！特に女性ハンターやサバイバーとの絡みがとても好きで、ハンター問わずの女子会とか飲み会とかもっと見たいなと思っていたんです！もし、作者様のお時間がお有りでしたら、番外編！とても楽しみにしています！ (5月29日 15時) (レス) @page45 id: a4641315f9 (このIDを非表示/違反報告)
とびこ(プロフ) - 黒猫山さん» 毎パートコメントいただけて嬉しかったです。ずっと応援していただいてありがとうございます！次に行くか続編に行くかまだ決め兼ねているのですがそう言っていただけるだけで嬉しいです。 (2023年4月26日 8時) (レス) id: a150e1a772 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫山 - 完結してる！おめでとうございます！別の小説とか書くのであれば応援してます！ (2023年4月26日 6時) (レス) @page45 id: 3a62e4e3a3 (このIDを非表示/違反報告)
とびこ(プロフ) - 黒猫山さん» いつもコメントありがとうございます！！頑張ります！ (2023年4月14日 20時) (レス) id: a150e1a772 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：とびこ | 作成日時：2023年4月13日 6時
