九話 ページ9
お茶の効果もあってか緊張もしていないし、気が立ってここまで来たはずなのにその気持ちも落ち着いてしまっている。
いい事なのだろうが、勢いで話を済ませてしまった方がよかっただろうことは言うまでもない。
「その、話なのだが」
「何だ」
「私の教え子についてだ。出来のいい教え子を、このままではもったいないと思って余所に出そうと思ったのだが…」
今更なのだが面と向かって、貴殿のところに学ばせに出したくはないだなんて失礼すぎやしないだろうか。
「その教え子が、俺のところで学びたいと言ったか」
「よ、よくわかったな」
「だが貴殿は俺の考えに理解を示していない、だから出来れば俺の元へは学びに出したくない」
「おお…」
「だが教え子の考えは尊重してやりたい、だから来た」
「なぜわかった、能力か…?」
「能力はあるがそういう能力ではない」
向かいのソファに座る福沢殿をじっと見つめる。
彼も私を見つめる。
「何か言うことはないのか?」
「俺の顔になんかついてるのか」
「ついてないけど、そうじゃなくてだな」
「まさかとは思うが、俺が貴殿に俺の考えを理解しろとでもいうと思ったのか」
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作者名:ミヤモトきのこ x他1人 | 作成日時:2016年11月11日 23時