もう、遅いんだよ。【歌い手】

お見舞い ページ20

志麻side





俺達は真実を知っている。彼女は本当に何もしてなくて只呆然と、罪を擦り付けられたことを。あの女“レイン”が来てから俺らの関係にヒビが入った。全部あいつの仕業なのも、裕太に問い詰めたら白状して予めケータイの録音アプリで録っていた。こんだけ、証拠も揃っているのだ。


みんな騙されている。けれど、今更“信じてやらないか？”と提案するのも変に思われる。まずは最近のAliceの様子を見てから決めないと後先めんどくさい事になる。







『最上階やから、ここだな。』


『最上階ってめちゃめちゃ広すぎるわ』


『luz、彷徨くな。』







自由気ままに彷徨くluzを首根っこ掴んでAのリビングにつく。Aの母からだといつもリビングから見える景色をボーと見ているらしい。そこには、首・吊・りをしているAの姿があった。







『え.......』


『Alice！！』


『.......』







センラは咄嗟にロープからAliceを下ろして床にねかしつけた。脈も心臓も動いて無く、Aliceの体は冷えていた。とても冷たく氷のような。







『A!!A!!』








何度、名前を呼んでも彼女が目覚めることはなかった。







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