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逃した魚は馬鹿デカい ページ46




『死んだ両親が報われない。だから絶対復讐してやるって、なのにどうやったって自分は騙せないから自己暗示でずっと言い聞かせて__』



「だから、自分自身は騙せなかったんだろ?」




他人を欺く技法はあっても、自分をまやかす手段は無いのだと二郎は言った




「Aはとっくにもう、天谷奴の事が好きだったんだよ」




視界が涙で歪む。あられも無くボロボロと溢れ地面へと還っていった




__分かっていたのだ。誤魔化しているアクシデントに




あの人の砕けた笑い方は自然につられる笑みがあったし、真剣な眼差しは不思議と惹きつけられた



何より殺せないと分かっていたから引けたトリガーや、本当に彼がやったかどうかを確認した辺り確たる証拠だろう。抱え込んでいた爆弾はとんでもない塗炭の苦しみだ



『今更っ。……も、遅い。どうすればいいの』




繋いだ手


縋るように上がる温度



__二郎がその手を引っ張って、私は原理に従い彼の身体へ抱き込まれる形になる




『二郎……?』



「_あ"あ"ー、あのオッサン今頃どうしてっかなぁー。さっきここ来てたけどもう10分前に出て行ったしな、電車でオオサカ帰るとか言ったけどもう駅着いてんだろうし」



『……何で、』




子供をあやす様に背中に回された腕。涙を呑み込んで問うも彼の顔は見えないまま




「何でって、それは__俺はお前にとって家族、なんだろ。家族なら応援しろって、兄ちゃん言ってたし」




ゆっくり離れていく体温。色彩にムラの無い二色が同じように弧を描いた




「行って来いよ、まだ間に合うから。そんで思い切り振られて来りゃいい。じゃなきゃA、男の趣味悪すぎ」




『……そんな事初めて言われた。でも__




__あの人が、いいのかもしれない』





**



二郎side




名残惜しく離れていく細い腕に未練を厚かましく押し付けて最後まで留めていたのは自分の方



笑顔で送り出し、幼馴染の向けた背中に見せた空虚を露わにした表情は確認せずとも酷い顔だっただろう





「あ、Aさん。__って、あれ」





Aと入れ違う様にして顔を覗かせた三郎。三郎の呼び掛けに気付く事無く去って行った彼女を最初こそ不思議そうに見つめていたが、ベッド先の俺に向き直すと下げたコンビニ袋が決まり悪そうに乾いた音を揺らした




「……馬鹿だな、二郎」



「__うるせぇよ」




言えなかった『好き』の後悔が呆れを為して執拗いた

I don't need love→←Just a friend



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魔灯 - 零さんは関西弁じゃないですよー (2021年9月20日 17時) (レス) id: 43f1bbcd44 (このIDを非表示/違反報告)
Kurkura2Kurkura(プロフ) - お返事ありがとうございます!!お話が、終盤になるにつれてヒロインの想いが葛藤して、零さんと対峙するヒロインの想い、零さんの想いなども読んでいてとても心がギュッとなりながら最後まで読みました!!素敵な作品に会えてよかったです!お疲れ様でした! (2020年3月15日 21時) (レス) id: 5afeb6b27b (このIDを非表示/違反報告)
映国 - しづさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。初作品ながら妥協は出来ない等となまじ頭が一丁前に葛藤した作品でした。ご期待に添える事が出来ましたでしょうか、感謝と申し訳無さがせめぎあっております。最後までありがとうございました (2020年3月15日 18時) (レス) id: 9bb31441b5 (このIDを非表示/違反報告)
映国 - Yさん» おコメントありがとうございます、お疲れ様でした。随分と長らくかかってしまったこの作品。こんな筈では、と苦笑いしつつもやはり書き終えてしまうとちょっぴり寂しいような。と同時に待っていて下さった心優しさに改めて感謝申し上げます (2020年3月15日 18時) (レス) id: 9bb31441b5 (このIDを非表示/違反報告)
映国 - 名無し9253号さん» 労いのお言葉大変嬉しく思います、ありがとうございます。処女作にあたり至らない点も多々あったのでは、と不安に苛まれる中無事完結に持ち込む事が出来ました。最後まで見届けて下さりありがとうございました (2020年3月15日 18時) (レス) id: 9bb31441b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:映国 | 作成日時:2019年10月6日 8時

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