0時の水槽、溺れる魚【天谷奴零】

オーダーメイドが派手過ぎる ページ20

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頻りに確認する時間



わらわらと入れ替わる客





＿＿つまり何が言いたいのかと言うと




『まだかな零さん』




と言った具合である。かれこれ1時間弱はこの状態だ



音沙汰無し、というよりそもそも連絡先を知らない。この時点で既に線引きされている。悲しいかな




悩んだ挙げ句このまま帰るのもどうかと考えもう少し待ってみる事に徹する





決意を固めた瞬間だった





「お、おったおった」




途端に周りのざわつく声に埋もれなくはっきりしっかり届いた声へと顔を上げれば





「えーと、JK...ちゃうかった、誉A。んなとこいつまでもおらんでさっさと帰るで」




気だるげな呼び掛けで佇むオオサカの有名人、
簓さんは何度確認しても私に向けられたものだった



『え...は、ぇ？』




何で、の疑問は彼の耳打ちによってとっぱらわれた




「零な。ほんまは今日大事な用事があってん。もうここには戻ってこーへんで」



『え、』



「てな訳ではよ帰りましょか」




**



水族館を後にし、少し距離を置いて後ろをついていった




「...何でそんな離れとるん？隣来ればええやん」



『却下で』



目も会わせず即答。可愛げなんて零さんの前だけで充分




「そんなん話すモンも話せんやろ」



『話す事なんて無いですが』





反抗期さながらオオサカディビジョンリーダーに臆する事なく睨み付ける



簓さんはと言うと、手のかかるマセガキやんな、なんてふざけた事抜かして私の腕を掴んだ




『ちょっ、訴えますよ』



「それは困るわぁ。零にされてもそんなん言うん？」



『ウェルカムに決まってるじゃないですか』



「おもろすぎやろ」




何がだよと振り払ってやりたいのを半々。残りは誰か証拠写真でも撮ってくれないかと甘い考えが半々。証拠があれば勝訴だ




「取り合えず俺の話聞いてな。あんな＿＿」



まだ聞くとも言って無いのに話し始めたので手のつけようがなく大人しく聞く事にした

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