同級生はお人好し ページ2
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比較的穏やかな学生生活
申し分無い経済の潤いと程よい緑の豊かさ
__背景を縁取るジオラマに、今日も穏やかに身を置けそうだと。しかしながらも平穏過ぎる毎日に少しばかり退屈していた登校中のある日
『(...3秒前、)』
正門を潜り、校内へ足を踏み入れたその瞬間にAはカウントを静かに要した
__2、
焦らすように睫毛を伏せる瞳の下に出来た影が晴天を知らせる
...__1、
『...ぜろ。』
その刹那。背後から伸びた影と肩に軽い衝撃
「おはよ。A」
『__御早う、二郎』
__ここ私が通うイケブクロの高校には。
あのイケブクロディビジョン代表、山田二郎も通っていた
センター分けから覗かせるオッドアイの瞳はどんな景色にも良く映える
「俺今日さ、日付と出席番号被ってて絶対当てられる気がするんだよな。...って事で宿題写させてくんね?」
『いきなり御託並べ始めたと思ったらそっちが本命ね...。残念だけど悪事に手は貸さない主義なの』
「やっぱ駄目か」
へらりと繕った笑みを浮かべる彼に、やけに下がるのが早いなと違和感を覚えつつもあと数mで着く下駄箱を目指し歩を進める
「なぁ」
『何?』
「__今日家来れば?兄ちゃんも三郎も会いたがってたし...晩飯兄ちゃん特製スパニッシュオムレツだし」
『いいの?じゃあお邪魔させて貰おうかな』
「おう」
何処か言い淀む建前のような切り出しに、『何か言いたい事あるんでしょ?』と脇まえも遠慮もせずに放つ
すると案の定世話しなく双眼を彷徨かせ、勿体ぶってから視線を寄越してきた
「...何か今日元気無くね?具合悪い?」
この言い分に本意があるか図れないが、そんな二郎はわざわざ立ち止まって端正な顔を近付けてきた
『普通だと思うけど』
「そうか?」
『そうよ。本人が言うんだから間違い無い』
__それならいいけど。
微妙に納得し切れていない彼が生返事をして顔を上げようとする。その輪郭を両手で包んで静止した
「えっ、」
『...私、二郎の目好き』
「は、ぁ!?!何だよいきなり!!!」
馬鹿みたいに赤面する彼の顔から手を離し、少しぐらいなら勉強教えてやってもいいかなと考えながら
__三兄弟の中でも“あの人”と同色の色彩眼を持つ二郎に
...この瞳は二郎だけのものであって欲しい
人知れず願った
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魔灯 - 零さんは関西弁じゃないですよー (2021年9月20日 17時) (レス) id: 43f1bbcd44 (このIDを非表示/違反報告)
Kurkura2Kurkura(プロフ) - お返事ありがとうございます!!お話が、終盤になるにつれてヒロインの想いが葛藤して、零さんと対峙するヒロインの想い、零さんの想いなども読んでいてとても心がギュッとなりながら最後まで読みました!!素敵な作品に会えてよかったです!お疲れ様でした! (2020年3月15日 21時) (レス) id: 5afeb6b27b (このIDを非表示/違反報告)
映国 - しづさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。初作品ながら妥協は出来ない等となまじ頭が一丁前に葛藤した作品でした。ご期待に添える事が出来ましたでしょうか、感謝と申し訳無さがせめぎあっております。最後までありがとうございました (2020年3月15日 18時) (レス) id: 9bb31441b5 (このIDを非表示/違反報告)
映国 - Yさん» おコメントありがとうございます、お疲れ様でした。随分と長らくかかってしまったこの作品。こんな筈では、と苦笑いしつつもやはり書き終えてしまうとちょっぴり寂しいような。と同時に待っていて下さった心優しさに改めて感謝申し上げます (2020年3月15日 18時) (レス) id: 9bb31441b5 (このIDを非表示/違反報告)
映国 - 名無し9253号さん» 労いのお言葉大変嬉しく思います、ありがとうございます。処女作にあたり至らない点も多々あったのでは、と不安に苛まれる中無事完結に持ち込む事が出来ました。最後まで見届けて下さりありがとうございました (2020年3月15日 18時) (レス) id: 9bb31441b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:映国 | 作成日時:2019年10月6日 8時