恋の歌 十三 ページ15
『こんにちはー…』
「おー…って……えぇ!?」
体育館に入ってきた私を見て、オレンジ色の髪をした山崎君は大声をあげた。
「うるせえぞザキ」
「や、でも驚くっしょ。この前の子だよね?マネになるっつった次の練習でビフォーアフターしちゃったら驚くわ〜」
花宮君がイライラしながら山崎君を怒っていたけど、原君はすかさずフォローしていた。でも多分彼も本音を言っただけ。
『昨日の今日で混同させるような真似をしてすみません…』
私が謝ると、原君は笑いながらフーセンガムを膨らませた。
「いや謝ることじゃないって。可愛くなってびっくりしちゃった」
『か、可愛い?』
「そ。可愛い」
顔が熱くなる。可愛いなんて男子に言われるのは初めてだ。
髪を切ったから表情がすぐに人に伝わるようになってしまった。
「ははっ、照れてんじゃん。それも可愛い」
『か、からかわないで…ください…』
私と原君のやり取りを見ていた花宮君は、舌打ちをして原君の肩を引っ張った。
「おわっ。どったの?花宮」
「うるせえ。早く健太郎を連れてこい」
「はー?なんで俺?花宮行けばー?」
「俺は忙しい。早く行け」
原君は、「ちぇ」と言いながらも、花宮君に言われた通りに健太郎という人を呼びに行った。
花宮君って、やっぱり監督権主将なんだな。
花宮君は、私をキッと睨んで、私に紙を渡してきた。
「マネージャーの仕事内容が書かれてある。指導する先輩もいないんだから自分でなんとかしろ」
早口でまくし立てられて混乱する私を置いて、すぐにどこかに行ってしまった。
「あ、えっと、花宮となんかあったのか?あいつが俺ら以外にああいう態度取るのは珍しいんだが……」
『えと…山崎、君?』
「おお、正解。俺の名前覚えてたんだな」
私を見下ろす顔は、キツイ目つきとは裏腹に人懐こい笑顔だったので、こちらも自然と口角が上がる。
『その…何回か呼ばれていたのを聞いたので…です』
「そうか。あとタメなんだから敬語使うなよ、俺だけじゃなくて原とか瀬戸とかみんなにも」
突然敬語を使うなと言われても、少し無理な話だった。でも人がいい彼がこう言っているわけだし、とどうしたらいいか迷っていると、彼は少し困った顔をした。
「あー、悪い。無理しなくてもいいから、ゆっくりでいいぞ。あんたは敬語が普通なんだな」
困らせてしまったにもかかわらず、山崎君は笑って「これからよろしくな」と花宮君のいる方に駆けていった。
いい人すぎた。
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JACK(プロフ) - ロザリーさん» ありがとうございます!!!黒バスはアニメも漫画も終わってしまって思い出しながら調べながらやっていて更新が遅れています。すみません…絶対に停止はしないので今後ともよろしくお願いします!! (2017年9月27日 22時) (レス) id: 57fecd335a (このIDを非表示/違反報告)
ロザリー - めっちゃ面白いです!!更新楽しみにしてます!! (2017年9月27日 21時) (レス) id: 8b55956d35 (このIDを非表示/違反報告)
JACK(プロフ) - 黒龍っちさん» わぁあコメントありがとうございます!!とても嬉しいです!!黒バスは少し前に終わったので書くの難しいですが頑張ります!ありがとうございました!! (2017年8月10日 21時) (レス) id: 8f79e7693a (このIDを非表示/違反報告)
黒龍っち(プロフ) - すっごく面白いです!更新頑張って下さい! (2017年8月10日 21時) (レス) id: 1d4387f259 (このIDを非表示/違反報告)
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