【黒バス】夢と知りせば。【花宮真】

恋の歌 十一 ページ13

『ふぅ……』

お風呂に入ると、お湯は、ちゃぽん、と音を出した。

『疲れたぁ……』

今日は私頑張った。
あの時は精一杯だったけれどかなりの緊張に襲われていたらしくて、帰り道はずっと手と足が震えていた。
だって、花宮君に、口答えをしたから。

『もっと変わらないと……』

明日は土曜日。
長ったらしいこの髪と、大きすぎる地味なメガネを、どうにかしたら私は変われるだろうか。

『顔が変わるわけじゃないんですけどね……』

可愛いには程遠い地味な顔。
メイクなんて絶対生徒指導を受けるだろうから、やらないけど、髪型と雰囲気を変えるだけでも、自信がつくのではないだろうか。

『よ、よし…やってみよう……』

密かに私は決意して、お湯から上がった。
明日は髪を切りに行こう。明後日はコンタクトにしてみよう。かなり勇気がいるけれど、草野千秋、頑張ります。









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『変ではないはず…！』

美容室のお姉さんには、「お似合いですよ！」と言われたし、お母さんにも「可愛いじゃない！」と言われた。コンタクトにしたら確かに自分じゃないみたいだった。

少しだけスカートを短くしてみた。
スクールバックに可愛いチャームをつけてみた。
校則違反にならない程度のオシャレもしてみた。

見た目だけは、変わることができた。
だからもっと内面も変わっていかないと…！


みんなは……花宮君は、なんて思うだろうか。

『あーもー…また花宮君のこと考えちゃうー…』

見返すためにやってることなんだから、こんな気持ちのままだと負けてしまう。
しっかりしないと、私。


パン、と太ももを両手で叩き、いつもより視界が晴れて、変な気がする家のドアを開けた。

『行ってきます！』

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