魔法を使えない魔法使いが、魔法に勝つたった1つの方法。【ハリポタ】 (ページ45)

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話題の強盗事件(セブルスside) ページ45

Aはつくづく変な奴だ。

スクイブだから、と友に失望されたときも

突然親元から遠ざけられて魔法界での生活を強いられたときも

どんなことがあっても涙など見せずに、我輩の隣で下品な妄想を垂れ流していた此奴が

唇を噛み締めて、声を殺して泣いている。

ホグワーツ卒業後も我輩を想っていたら、その時は考えてやるという約束を破ると言った。

それでも我輩を愛していると、泣きながら言うのだ。

『…同情なら遠慮します。
スネイプ先生は生徒が泣いていても一々こうやって抱き占めるなんてことしませんよね。
よっぽど、俺が可哀想に見えましたか？
そんなことをしてくれなくても、俺はずっとスネイプ先生だけを愛しています。今まで通り。』

そんな事を言っておきながら、我輩の服を握り締めて泣いている。

ぐぐもった声が、胸の辺りで響いた。

こいつが、Aが泣いているのは嫌いだ。

魔法が使えなくとも、

杖が使えなくとも、

したり顔で笑っている此奴が泣くのは嫌だ。

何故だか、心臓が絞まる。

同情などではない。これは、何だろうかね。

ｾﾌﾞ「黙れ。子供はそんな似合わない泣き方をするな。
声を殺して泣くな。」

我輩に抱きついて離れないAの涙が服に染みこむ。

『っ、スネイプせんせ……もうちょっとだけ、このまま……』

その小さい身体で、似合わない感情に耐えることはさぞ辛かろう。

我輩は、手のやり場に困って結局Aの髪を撫でた。

しばらくそうしてやると、Aはベッドから出て行こうと起き上がった。

『じゃあ、俺はもう行きますね。…スネイプ先生、愛しています！』

ベッドから降りるAの腕を咄嗟に掴んで、もう一度腕の中に引きずり込んだ。

なぜだか無性にそうしたくなった。

『うわ、スネイプ先生？』

ｾﾌﾞ「どこに行くつもりだ」

『えっと、図書館に』

行き先が分かっても、その細い腕を離したくなかった。

我輩は今でもリリーを愛していて、これからもずっとそうだ。

我輩のせいで殺されたリリーだけを想って、リリーの子供を守る。罪滅ぼしなのだ。

しかし、こいつが我輩のもとから離れるのは我慢ならん。

ｾﾌﾞ「…駄目だ。」

『？え、なんでですか？
課題をやらないと…』

ｾﾌﾞ「ここでやれ」

『……えーっと…スネイプ先生？』

ｾﾌﾞ「…ロングボトムのところへ行くのだろう？」

『はい。さっき告白されたんですけど、ネビルとは友達なんで。』

何故か頭に血が上った。