鏡と石 ページ37
ﾈﾋﾞ「Aっ！？大丈夫？」
『くっ、いつも転ぶポジションなのはネビルなのに』
ﾈﾋﾞ「ん？ちょっと聞こえなかった。モウイッカイ言ってみな？」
禁じられた森で転んだ俺に手を差し伸べるネビルの目は、笑っていなかった。
『ナンデモナイです。』
俺はネビルの手を取って、制服に着いた土を払った。
最近はネビルも段々自分の言いたいことをはっきり言えるようになってきた。
良い傾向だと思ってる。ちょっと気が強いくらいのほうが、何かと上手くいったりするのだ。
マグル界でも魔法界でもこれは暗黙の了解だろう。
ﾈﾋﾞ「でもAが転ぶなんて珍しいね。美形は転ばない生き物だと思ってたよ。」
『美形だって人間だよ！？そして俺は美形じゃないよ！？
そろそろ言おうと思ってたんだけど、眼科勧めようか！？』
ﾈﾋﾞ「君こそ、何もないところで転ぶくらい体調が悪そうだよ」
俺よりガタイが良いからか、実はネビルが本気で怒ったら誰よりも怖いんじゃないかって思ってる。
普段大人しくて温厚な人ほど、怒るとかなり怖かったりするんだよ。
ネビルは絶対このパターンだよ。もう典型的に。
スネイプ先生はいつも怒ってるからな、たまに温厚になってほしい。
『体調はいたって普通。むしろ、今朝もスネイプ先生がキスマークつけてくれて絶好調だよ。』
首筋についた赤い痕を見せながら自慢気に言った。
ﾈﾋﾞ「もう見慣れたよ。毎朝くっきりついてるもんね。」
初対面のネビルなら恥ずかしがっているだろうに。
免疫がつきすぎて羞恥心をどこかに置いてきてしまったらしい。たぶん俺のせいで。
『あ、そういえば石みたいなやつにつまづいた。』
足下を見ると、俺を転ばせた元凶がそこにいた。
ﾈﾋﾞ「…これ？」
『うん、たぶんこの石。』
どこまでも赤く、透き通った石だった。
手の平大の。
『これ、レッドスピネルだ。』
拾って、まじまじと石を見たら鉱物だった。
小学生の地学の応用編でたまに載ってる鉱物。
ﾈﾋﾞ「レッドス…なんて？」
『レッドスピネル。酸化鉱物の尖晶石。
成分は酸化マグネシウムと酸化アルミニウムだ。
アルミニウムだけ除けば、身体に良い石茶ができるね。
イギリス人の食事からして、あきらかにマグネシウムが足りていない。』
ﾈﾋﾞ「…えっと、マグル界の学問？」
『そうだ。地学っていって、魔法界で言う魔法薬学と薬草学とかの類いだよ。
これ、スネイプ先生にお茶にして飲ませてあげよう。』
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作者名：消しゴムコレクター。 | 作成日時：2018年3月25日 13時
