無理矢理に開かれた舞台/7 ページ16
私は、普通科へと向かっていた。
アイドル科には男子トイレしかないから私は普通科の女子トイレを使っている。教員用の女子トイレもあるけど汚いし。
ふと男子トイレの前を通ると。
「っ、う、ぁ、…っ、はぁ、…!!」
苦しそうな呻き声が聞こえてきた。
_見てはいけない。絶対に後悔する。
…そうわかっていた。はずだった。
『しゅ、う…』
宗が。
洗面台に手をつきながら苦しそうに、吐いていて。瞳には涙が浮かんでいて。
足がすくんで動けない。私はこうやって肝心なときに動けないんだ。はやく助けたいのに。でも、こうなった原因を作り出したのは_
「Aちゃん」
『みか、ちゃ…』
「そこ、どいてぇな」
『あ…ごめ…わたし、』
みかちゃんの私を見る目はこれまでにないくらいに冷たくて。
「お師さん、大丈夫!?落ち着いてぇや!!」
「っ来るな!!影片!!」
宗、みかちゃん、ごめんなさい。
そう言いたいのに上手く言葉が出なくて。声が出ない。動けない。
すると。
誰かが私の手を握って、歩き出した。
『凪砂…!?』
「…今のことは、忘れた方がいい。」
『っ、でも…!!わたし、わたしが…!!』
「Aちゃんのせいじゃない。」
『っ、ちがう、わたしが…!!』
ボロボロと涙が溢れる。
こんなことになるなんて思ってなかった。
『凪砂…!!わたし、こんなことになるなんて思ってなかったの…!!でもこんなの言い訳だよね…!!わたし、どうすればいいの…!?なぎさ…!!』
ここで私は、英智の病室での質問の意味にやっと気が付いた。
_僕が君の大切な人を壊してしまったら、どうする?_
英智じゃない。つむぎじゃない。日和でも凪砂でもない。
私は自分の手で、自分の大切な友人を壊してしまったんだ。
いつか英智が言っていた。
革命に犠牲は不可欠だって。
わたしは馬鹿だ。
英智の言葉の意味も理解せずに。みんなが幸せになれるハッピーエンドなんてあるわけないのに。
_わたしは、どうすればいいの。
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晴色 Haruiro - こ…更新停止になっている…!めっちゃ気になるところ…! (2020年9月28日 22時) (レス) id: cb91fa8278 (このIDを非表示/違反報告)
さくらもち - いやあの…2winkは何処へ?? (2020年5月8日 0時) (レス) id: 8838e23b4e (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 思わず家族の前で大号泣...です!!笑 とても面白いです!続き待ってます! (2020年4月29日 20時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
あや - ギャグとシリアスの要素をどっちも入れたお話がすごい好きです!夢主ちゃんのおふざけ読んでて面白いです!これからも更新頑張ってください! (2020年3月13日 0時) (レス) id: b66ce4994b (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - 合格おめでとうございます!また話がみれるなんて嬉しいです!さっそく今までの話見返してきます! (2020年2月29日 17時) (レス) id: 185b755f08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kairi | 作成日時:2019年5月15日 16時