と ページ7
あの子が出ていって、くのいち教室のあたし達の学年からは、一人も“学級委員長に成ろう”という人は現れなかった。
ヨっちゃんは、学級委員長のお手本みたいな子だったから。
体が弱くて外遊びには加われなかった透子の為に、教室の中で皆一緒にお喋りする習慣付けを行ったのも、
保健委員会に入ったが故に不運に見舞われ、実習で片目を失い、“もうお嫁に行けない”と嘆いていたマッコを必死に元気付けたのも、
人見知りが故に後輩や忍たま等との関わりが少なく、いつもオドオドと何かに怯えている様だった、はなちゃんとミキティを親友とまで言わしめる程に仲良くしたのも、
全部全部、ヨっちゃんがしてくれたことだった。
「あ、何だったっけ。ふ……ふらふらダンス、みたいな……わくわくさんみたいな、名前の君?」
「不破雷蔵な。」
性格の悪い方に真っ向からのツッコミを入れられた。
「えっ? 僕? 僕がどうかしたの?」
本人はあたしの言った言葉では分からなかったらしく、名前を出されて初めて反応を示した。
「そ、君だよ。それともなぁに? 他に同じ名前の人がいるの?」
話しかけられただけでわたわたと焦りだしたから、少し意地悪をしてみると、“うーん…”と唸り始めてしまった。
「此処にはいないけれど、他学年にはいるかも……否、僕の知ってる限りじゃいないし……でも全ての国を調べたなら………うーん…うーん……ぐぅ…ぐぅ……」
「そんなに悩むこと……って! ちょっと!? なんで寝るのよ!! ねぇ起きてよ雷蔵君!!」
何故か居眠りをし始めた雷蔵君の肩を掴んでがくがくと揺さぶると、眠そうに目を開けた。
「ぼ、僕は誰なんだろうか……」
「はぁー!? アンタは不破雷蔵でしょ!? 自分の存在にくらい自信持ちなさいよ!!」
「そうだぞ雷蔵っ! 君の名前は不破雷蔵だ!!」
「雷蔵は雷蔵だぞ!」
「雷蔵は……犬みたいだよな……」
「兎だろ……」
「えっ、僕って兎だったの!?
何で隠してたのさ三郎!!」
いや何で其処を拾ったの!?
名前を聞かれて連想する二人も二人だけどさぁ!
普通最後じゃなくて一番最初に答えられた名前を信じない!?
「あたし不破雷蔵って言ったじゃない!」
「い組は頭が良いから……」
「何よ、あたしだって頭悪くはないわよ! ついでに言うとあたしアンタ達より一歳年上だからね?」
言った、言ってやった、と思った。
……なのに。
なんでキョトンとしてる……。
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obipurei(プロフ) - おもしろいです、続きが気になります!! (2020年2月22日 2時) (レス) id: 186218a2f3 (このIDを非表示/違反報告)
光01(プロフ) - めっちゃ面白いです!!!更新待ってます!!! (2019年1月13日 8時) (レス) id: 55201a4f37 (このIDを非表示/違反報告)
雪だるま - 最高!!更新頑張って下さい! (2018年11月26日 2時) (レス) id: 63a569be48 (このIDを非表示/違反報告)
VG10(プロフ) - タイトルにつられてきました(。-`ω-)面白いです!更新頑張ってください!(*´▽`*) (2018年5月6日 18時) (レス) id: ca990874aa (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - すみません、むにさんm(_ _)mもしかしたらオリジナルフラグ外してないかもしれません…… (2018年5月6日 16時) (レス) id: 833653a4c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むに | 作成日時:2018年5月6日 16時