【ＲＫＲＮ】君がため【尾浜勘右衛門】

る ページ11

そう、昨日までこの教室にあたしと一緒にいたのはめめちゃんだった。


同じ教室で何年も何年も共に過ごしてきた級友が少しずつ減っていく。


ずっと、それが。



それだけが。

ただただ、怖かった。


“あの日”


“あの日”に起こった出来事は今あたしが此処に居る理由になっている。

本来ならあたしも皆と同じ様に、この学園を出ていってたんだ。

そしたら、今の一年生……はたまた、二年生ともあたしは知り合うことなんて無かったんだ。


そして、いつも妙な笑い声を響かせるヘムヘムのことも、毎度毎度可笑しな思い付きをする学園長先生のことも、憧れの的の山本シナ先生のことも、お残しは決して許さない優しい食堂のおばちゃんのことも、全部思い出になっていたんだろう。


それはそれで、幸せだったのかな。

その道を辿らなかったあたしには全く持って分からないけど。


めめちゃんは、今も幸せかな。



あたしたちが昨日まで行っていた実習…もとい、忍務。

城に潜入して、下剋上を企てる家臣を暗殺する。


潜入なんて、暗殺なんて、プロの忍者としていることはほぼほぼ変わらない。



彼処で手を離さなきゃ良かった。

でもしょうがなかった、腕がすごく痛かったんだもの。
言い訳なんて駄目。分かってる、分かってるよ。

『ごめんね』を繰り返し叫びながら落ちていくめめちゃんから、咄嗟に目をそらした。


違うんだよ、あたしはとっくの昔に許してた。

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