8話―万事屋へ― 桂視点 ページ9
俺らしくないとは思うが、旦那という鎖から解放してあげたいと思った。雁字搦めにされ、今にもその姿が見えなくなってしまいそうな彼女を。
仲間に引き入れたのは良いものの、A殿は一般人。戦闘に関する知識や技術を持ち合わせているとは到底思えない。
俺やエリザベス、他の志士達から剣術や爆弾の製法くらいなら教えられると思うが、どれも教わってすぐに出来るものではない。結果、彼女を無闇に俺達のやる事成す事の現場に連れて行くのは無理だ。
しかし、だからと言って一人置いていくのは……もしかしたら、旦那が探しに来るかもしれないしな。となると……ああ、丁度いい所があるではないか。
「――という訳で銀時、俺の用事が済むまでA殿を預かっていてほしい」
「という訳で、じゃねぇだろォォォ!! 状況整理させろ!!」
そう、万事屋である。
ここなら、安心していられるだろう……というのは半分で、残り半分は不安なのだが。いざとなれば銀時が守ってくれるだろうから大丈夫だ、と無理矢理結論付けた。
「あのなぁヅラ、ウチは保育所やペットホテルじゃねーんだよ。しかも何だよ女預かれって」
「ヅラじゃない、桂だ。彼女は立派な大人の女性だから大丈夫だろう?」
「ツッコむとこそこじゃねーよ!!」
ああもう、小言をいちいち言いおって……謝礼とは別に前金渡すか? いや、そうするとこちらの生活費がカツカツになるから駄目だな。
銀時と口論している間、A殿は気まずそうな顔をしながら出された緑茶を啜っていた。
俺が勝手に連れてきただけで、何も彼女が罪悪感を感じる事はないというのに……どれだけ自分に自信がないのだろうか。
「……はぁーもう、わーったよ。こっちで面倒見とくから。その代わり、ちゃんと謝礼金寄こせよ」
「そう言ってくれると思ったぞ。……では行ってくる。待っているんだぞ」
『は、はい……分かりました。いってらっしゃいませ』
目の前で繰り広げられていた事に頭の整理がつかないのか少し戸惑い気味だったが、微笑を浮かべて送り出してくれた。
さて……心配事はなくなった。今度は成すべき事に集中せねばな。
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復活のU(うp主)(プロフ) - これ桂さんオチの夢小説だけど、他キャラとの裏短編集とか作りたいとかぼちぼち思ってます。決して上手くはないんだけど、助平だから裏要素満点なの書きたくなっちゃう。 (2017年8月31日 23時) (レス) id: c4fae3913d (このIDを非表示/違反報告)
復活のU(うp主)(プロフ) - セルフツッコミしてしまいますが、春雨初登場時ってエリザベスいなかった気がする……ご都合主義という事で、多少の原作との食い違いなどはスルーして下さると嬉しいです(汗)これからもよろしくお願い致します。 (2017年8月28日 14時) (レス) id: c4fae3913d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うp主@
作成日時:2017年8月19日 23時