番外編:私を想ってください3 ページ35
ケーキが完成した頃にはもう既に夜の8時を回っていた
つまり10時間近くかかったわけだ
「つ、疲れた…」
「ケーキ作るのって…意外と体力いるんですね…」
「普通はこんなじゃないんですけどね…」
ぜぇぜぇと荒い呼吸を繰り返しながら会話をする
まさかここまで疲れるとは思いもしなかった
「ところでどうやってこのケーキを霊幻さん家まで運ぶんですか?」
「超能力に決まってるじゃない
ひとりがこれを浮かして、もうひとりがケーキの周りにバリアを張るの」
完璧でしょ?と自信満々に言うも、律はどこか浮かない顔をしている
(通行人の目が痛いだろうな…僕ができるだけ人通りの少ない道に先導するか…)
「はーい、と…」
チャイムを鳴らして暫くしてから、だるそうにドアを開けた霊幻さんに、みんなで一緒に揃わない口調で「誕生日おめでとう」と言う
「…え?」
「「…え?」じゃねーよ、霊幻
せっかく誕生日に来てやったんだ、茶ぐらい出しやがれ」
「霊幻さん、俺今日が霊幻さんの誕生日って知らなくて…何もあげられないですけど誕生日おめでとうございます!」
霊幻さんはやっと事態を理解したようで、少し照れ笑いをしながら
「あ、ありがとよ…」
とぽつりと言った
「別に好きであなたの誕生日を祝いに来たわけじゃないですからね、こっちはAさんに脅されて
「律、写真」
というのは冗談で霊幻さんお誕生日おめでとうございます」
「師匠、僕からも
お誕生日おめでとうございます」
途中律のつまらない言い訳が過ったが、とにかくみんな言いたいことはそれぞれなようで
「お前ら…
まあなんだ、上がれよ」
「お邪魔します」
霊幻さんのその言葉に、みんなでぞろぞろと靴を脱いで部屋へと上がっていった
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作者名:出島 | 作成日時:2016年9月21日 21時