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Unknown 4 ページ9

「ところでさっきの男誰よ」

不意に質問され体がびくりと反射する

「な、なんのことですか」

ゆっくりと冷蔵庫から男の方に顔を向ける

初めて男の姿を正確に見る

背格好はいつもホームで見るのと同じだ
間違いなくこの人はストーカーと同一人物だ

顔は初めて見たが日に焼けてなくて青白く、病人のように見える





「なんのことって駅で一緒にいた金髪だよ」
「…あなたには関係のない人です」
「は?」

言い方が悪かったのはわかっているが、勝手に私との仲を捏造した挙げ句それを私に押し付ける態度にだんだん怒りを感じる

そしてそれが恐怖に勝るのに時間はかからなかった


「何、あいつがいいの?」
「いいもなにもあなたには……」

関係ないでしょ、と言いたいがさすがにやめ、ぐっと下唇を噛んで屈辱に耐える

こんな会話、刃物がなければ真っ向から否定するのに


ちらりと台所の包丁を仕舞ってある方を見る
抑止力になるかと一瞬考えたが、おそらく相手の感情の起爆剤にしかならないだろう


「1回泣きを見ないとわからないの」

男がソファーから立ち上がりがてらそう呟くのが聞こえる

「どうして!私とあなたってなんにもないじゃな…」


途中、勢いよく胸ぐらを捕まれて少しつま先立ちになる

「嫌あっ!やめて!!!」
「うるさい、黙れ黙れ黙れ!ほんとに刺すぞ!?」

あってなかったような思考の糸がそこで完璧に途切れた

私の悲鳴をかき消すように男が怒声をあげ、そのまま投げられるように床に押し倒された






「お願い……やめて…!」

私に馬乗りになっている男に向かって、今度は声にならない声で言う

心臓がものすごい早さで脈打っている
全身に血がかけ巡る
鼻がつーんとして痛い

「Aちゃんが悪いんだよ、僕じゃない男に頼ってさ…!!」

嫉妬による興奮か、これから私にしようとすることに対しての興奮か、男は汗をにじませ息荒く答える

「ねえ…!お願いやめてよ…!!」

かすれた声しか出ない
ほんとは叫びたい
しかし男の手にある刃物が私をそうさせないのだ

「大丈夫だよ!!安心して!僕がAを守るからぁ!!!!」



男の手がシャツのボタンを開けていく



意識が朦朧としていく

頭が真っ白になって



あとは何も覚えてない

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作者名:出島 | 作成日時:2016年9月5日 22時

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