S.S. Rush 2 ページ30
「マジで暇じゃねーかよ!!!!」
Aは実験があるからと、大学に着くとそうそうどこかへと行ってしまった
超能力があるから迷子にはならないだろう、とろくに大学の案内もしてもらえなかった俺は
とりあえずこの馬鹿デカイ大学という場所を歩き回ることにした
のはいいのだがどこへ行っても同じような施設があるだけで歩き始めて10分程度で俺は飽きてしまった
「Aのとこ行くか…」
Aはとにかく何かあったり、退屈で死にそうになったら自分のところへ来いと言っていた
しかし別れてすぐ行くのもなんだかなー、と思った俺は
道の端にあるベンチに座り、どうしたものかと考えた
「ワンワン!」
突然足下で鳴き声がした
見るとそこには汚れた小型犬がいた
「あ?
大学ってのは犬まで暇してんのか?」
ちょうど良い、遊び相手になってやろうとその犬の頭を撫でる
汚れているが、その毛はさらさらで触っていて気持ちがいい
体の至るところに草をくっつけているところから推測するに…
「お前まさか…」
「いたーーーーーッッッ!!!!」
遠くで白衣を着た男が俺を指差し、叫んだ
俺と犬は同時に男の方を見やる
「お前脱走してきたのか?」
くーんと犬がつぶらな瞳で俺に何か訴えてくる
「キミ!その犬を捕まえてくれ!!」
脱走してきたなら、こいつは俺と同じだ
窮屈で支配された世界が嫌になり、自分の力を試そうと…
「…わかるぜ、お前の気持ち」
犬の表情が明るくなる
そして、俺は
犬をがっちりホールドした
「よし、そのままでいてくれ!!!
今からそっちへ向かうから!」
「かかったな、バカ!
犬が逃げるなんておおかた注射が怖いとかそんなんだろ、このワン公め!」
犬の滑稽さににやにやしながら手で犬の体をわしわし撫でる
するとその時
ガブッ!!!!
「いってぇーッ!!!!」
犬から手を離してしまう
「あ!おい!!!」
犬はしてやったりと俺の方を見ながら全力疾走していった
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作者名:出島 | 作成日時:2016年9月5日 22時