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いつも通りの傑さんに見える。


でも、この違和感はなんなのだろう。



傑さんは紅茶にもケーキにも手をつけず、私を見てニコニコしながら話し続ける。





夏油「知ってるかい、A。呪いっていうのは人から生まれるんだよ」



「人からだけですか?」



夏油「細かく言えば非呪術師から生まれる。我々呪術師は、呪力を外に発しないからね」



「非呪術師からのみ…生まれる」



夏油「そう。つまり、Aの両親を殺した特級呪霊も、元は非呪術師から出た呪いが生んだものなんだ」




ーーードクン。




この話の着地点が分からない。

だけど、今はもう写真でしか会うことができない最愛の両親を殺したものは、非呪術師から生まれた呪いというーー

考えれば至極当然のことなのに、私は酷く動揺してしまった。




「ーーーっ、じゃあ、私は…呪霊を祓い続けなきゃいけませんね。授かった能力をきちんと使わなきゃ」




夏油「祓っても祓っても、呪霊は消えないよ。非呪術師が存在する限り」




「傑さん…?なんの話を…」




夏油「非呪術師を皆殺しにすれば平和が訪れるんじゃないかって思ってさ」






更に胸が騒つくのが分かる。

この上ない違和感の正体。




傑さんの笑顔は、張り付いたものだったのだ。


何故気づかなかったのだろう。


傑さんから、死の臭いがすることに。






「傑さん…!?今まで何をしてきたんですか!?」




夏油「何も。ただ任務を遂行しただけだよ」




「血の、臭いがします」




夏油「Aは鋭いね、これでもシャワーしてきたのに」




「傑さん。どうしたんですか、何があったんですか」




私の恩人は、先生だけではない。


安心をくれた硝子さん。
いつも穏やかでいてくれる傑さん。



傑さんが違う道に行こうとしていることを、本能で感じ取った。




私が傑さんの腕を掴むと、彼はフ、と笑って私の頭を撫でた。





夏油「Aも来ないか、こちら側に」




「こちら側…って」




夏油「これ以上の悲劇を、望まないだろ?非呪術師がいなくなれば、私たちがこうして戦わずに済むんだよ」




「〜〜〜っ!傑さん!私でもわかります、駄目です…。そっちに行っちゃ駄目です」






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作者名:佐々 | 作成日時:2021年1月20日 13時

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