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「先生を恨むなんて、あるわけないじゃないですか。先生が来なかったら私は死んでいたんだから」
五条「…」
「だから、先生に早く恩を返したくて、がむしゃらに自分を鍛えてしまっていました。それが先生の助けになるんだと思ったから」
五条「…それは分かってるよ」
「でもそれが結局、今みたいに先生に余計な心労を掛けてしまった。ごめんなさい」
五条「…お前は、ほんとに…」
ガキはガキらしくしてていいんだって言ってんだろ。
そう言おうとしたけど、やめた。
Aは子供じゃない。年齢だけが、判断する材料ではないのだ。
五条「…Aが謝ることは１個もない。でも、１５になるまでは目立つなっていう担任の言葉は忘れないでほしい」
こくんと頷く彼女。
フ、とAに笑いかけるつもりが、右目からツー…と涙が流れたのを感じる。
「…先生？」
五条「………？」
「大丈夫ですか？…どうしたんです、 わっ」
涙を隠すようにAを自分の腕の中に収めた。
とめどなく溢れてしまい、止まらない。
灰原の死とようやく向き合えたのだと思う。
高専に帰りたくなかったけど、Aと一緒だったから。
だから灰原にようやく別れが言える。
今は誰に見られたっていい。
硝子や傑に何を言われたっていい。
Aを特別に思う理由は呪力量だけじゃないってことはわかっていた。
俺の弱さを出せる存在だったんだ。
五条「ごめん…ちょっと胸貸して」
「――――はい」
ガキガキと言っていたその少女は、俺にとってそんな存在だったことを知った。
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作者名：佐々 | 作成日時：2021年1月20日 13時
