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夜蛾「祇園…Aと言ったな」



「っ、はい」



夜蛾「自分の呪術が分かったのは最近の話なのか?」



「はい、3か月前に先生…五条さんに助けていただいてからです」



夜蛾「3か月でこんなことができるのか」



五条「ちなみに反転術式が使えます。他人を治せるかは知らないけど、自分自身の傷は治せていた。さっき見せた写メは術式反転です」




そう言うと担任は「ハァ」とため息をついてから手を頭に当てて項垂(うなだ)れた。




夜蛾「悟もそうだったが、天才というのはいるものだな」



五条「俺の方が強いけどね」



夜蛾「…お前は本当に子供だな。まあいい…。A」



「はい」



夜蛾「15歳になったら、高専に入学しろ。それまでは1人で呪霊を祓いに行ったり、目立つ行動は取らないと約束してほしい」





俺はバッと顔を上げて担任を見た。

Aのことを匿うことに賛成してくれた、という意味だからだ。





「分かりました」



夜蛾「それから悟」



五条「?」



夜蛾「もう少し俺を信じろ。…灰原が死んだことに、何にも感じていないはずがない」



五条「……すんません」



夜蛾「今日はゆっくり休め。Aの呪術の現場の隠蔽はこちらでやっておく」



五条「助かります」



夜蛾「A、これから色んなことがある。非呪術師として過ごしてきて、急激な変化に戸惑っているかもしれない。だが信念を持ってほしい。そして、高専でまた会おう」



「…はい。改めて、よろしくお願いします」




堅苦しい挨拶が終わり、俺はホッとした。


Aも、強面の担任が自分の味方だということを知り安堵の表情を浮かべている。



――とりあえずは、よかった、な。




「…先生」




担任の部屋を出ると、Aが真顔で問うた。





「灰原さんって…誰なんですか?」



五条「…俺の後輩だよ。高専の2年」



「……今日死んでしまったんですか」



五条「そう。灰原と、その同期の七海ってやつが負傷したから俺が代わりに向かったの」



「…」



五条「この世界にはそういうことがザラにある。だからいつか、Aは俺がこの世界に巻き込んだことを恨むかもしれないね」



自傷気味に笑うと、Aは静かに首を横に振った。



「そんなことは絶対にあり得ません」




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作者名:佐々 | 作成日時:2021年1月20日 13時

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